国際宇宙ステーション(ISS)の共同運用からロシアが2024年以降に撤退すると報じられ、木原誠二官房副長官は27日の記者会見で「諸情勢を見極めつつ、ISSの安全運用を図る」としたが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の日本人宇宙飛行士のスケジュールにも影響を及ぼす懸念が出てきた。

ロシアの国営宇宙機関「ロスコスモス」は米国、日本、欧州、カナダなどと共同運用しているISSプロジェクトから24年で離脱を表明した。ISSは24年までの共同運用することで合意し、30年まで延長する方向で協議されていた。

ISSは商業宇宙旅行で脚光を浴びている。昨年12月に衣類通販大手ZOZOの創業者で実業家の前澤友作氏ら2人がロシアのソユーズに搭乗し、日本の民間人では初めてISSに滞在するなど、商業宇宙旅行の時代到来として注目を集めた。

JAXAの若田光一宇宙飛行士も9月に米スペースX社の民間宇宙船「クルードラゴン」に搭乗し、日本人最多5度目となる長期滞在のミッションに臨む予定だが、その後の日本人宇宙飛行士によるミッションは現時点では見通せない。

米航空宇宙局(NASA)は、ISS内の実験棟で将来の月、火星探査へ向けた実証実験などを行い、民間の宇宙旅行者による商業化を両立させる計画だったが、ウクライナ情勢に端を発した米ロ対立が、宇宙にまで飛び火した形だ。

◆国際宇宙ステーション(ISS) 地上から約400キロ上空に建設された有人実験施設で軌道上を周回している。1998年に宇宙空間で建設が始まり、11年7月に完成した。特殊な宇宙環境を利用した、さまざまな実験や研究を行っている。ISS内には日本の実験棟「きぼう」がある。米、ロシア、日本、欧州、カナダの宇宙機関を中心に15カ国の協定で共同運用されている。