第46回全国高校総合文化祭「小倉百人一首かるた部門」が2日、東京・墨田区総合体育館で行われ、東京都チームが3連覇を達成した。

競技かるたに情熱をかける高校生たちの姿を描いた人気漫画「ちはやふる」(作者・末次由紀)は、「BE・LOVE」(講談社)での連載最終回を前日1日発売号で迎えたばかり。主人公「綾瀬千早」のごとく「東京のちはや」島村花主将(白鴎3年)を中心に躍進した。

コロナも乗り越えてフルパワーを発揮した。島村主将にとっては、1年時は大会中止で、昨年も優勝メンバーだったが「3人制」に縮小しての実施。今年は通常の「5人制」で行われただけに「仲間が増えたので、喜びも大きい」と納得の笑顔を見せた。競技中に仲間を鼓舞する言声がけや円陣も禁止となったが「マイナスに捉えるのではなく、個人で集中出来る方法を練習から意識してプラスにしました」。栄冠を自信に「一番の目標はクイーン(日本一)になることです」と夢も抱いた。

決勝トーナメント1回戦で敗れた福岡県チームの下田青葉主将(輝翔館中教校6年)も「普段は声で士気を高めるのですが、声が出せないので練習からアイコンタクトを意識した。5人の気持ちはより1つになったので楽しかった」と結束に手応えを得ていた。コロナでのルール変更にも各チームで工夫を凝らし、それぞれの結果を導いた。

競技かるたは、「読手(どくしゅ)」が上の句を読み上げ、選手は下の句が書かれた札を取り合う。上の句の1文字目が同じ句も数多く存在し、2文字目を察知して瞬時に取りに行く繊細な競技。東京チームのコロナ対策も功を奏した。今大会は読手がマイクで読み上げたが、コロナの状況によってはマスク着用で読み上げる可能性も想定して練習してきた。島村主将は「マスクだと読手も読みにくいし、聞こえにくいこともある」。普段は超一流の読手がランダムで札を読む機械で練習するが「あえて部活の生徒にマスクを着けて読んでもらいました。対応力はついたと思います。今回は読手の方がマスクなしでのマイクでしたし、とても上手だったので聞きやすかったです」。悪環境をつくっての練習で聞く耳は研ぎ澄まされた。

準決勝で読手を務めた櫛引衣呂波さん(青森・五所川原3年)も「昨冬から寝る時の口呼吸をテープを貼って矯正しました」と大舞台に備えてきた。コロナ感染予防と喉の調子を維持するために。勝負を左右する上の句の読み出しには、「最初の2文字が一緒というのはたくさんありますし、『契り』まで3文字が同じ句が2つあるんです。区切りまで1つは6文字、1つは5文字なので、どちらか分からないようにするために、読むスピードを同じにすることを意識しています」。本来は選手として活躍してきたが腰痛を機に読手にも挑戦して全国舞台に立った「二刀流ちはや」だった。

選手8人の登録後にコロナ感染が相次ぎ、出場ギリギリの3人で臨んだチームもあった。保護者の観戦は認められず、会場の選手席も指定席に。競技かるた団体戦は畳の上に5人が対面して座り、距離も近いため、より厳しく感染防止対策を徹底。第7波の影響を乗り越えた東京都チームの頂点だった。【鎌田直秀】