将棋「第35期竜王戦7番勝負第3局」(10月28、29日)の会場となった静岡県富士宮市が、「おやつ投票」を行っている。市制施行80周年の記念事業として、藤井聡太竜王(20)の初防衛戦を初めて招致した。2日制の対局で、おやつは午前と午後の計4回出す機会がある。その候補を市内の和・洋菓子店などから募り、多くの人の投票で選んでもらうことにした。日本将棋連盟によると「おやつの投票制は珍しい」という。市役所での来庁者による投票は18日に終わったが、インターネット投票は31日まで受け付けている。

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最初に火が付いたのは、「ぴよりんアイス」。昨年6月の王位戦第1局(名古屋市)で食べた。JR名古屋駅構内の店舗では、今も行列ができている。

叡王戦を主催する不二家を大喜びさせたのは、「コロコロしばちゃん」。昨年9月の第5局(東京・千駄ケ谷「将棋会館」)で選んだ。直後から店頭での売り切れが続出した。

当事者が最も驚いたのは、「じゃんがら」。昨年10月の竜王戦第3局(福島県いわき市)の地元の有名和菓子だ。製造・販売する「みよし」は、「かわいい洋菓子が候補に多かった。まさか選ばれるとは」と話すほどの大穴だった。

今年7月の王位戦第2局(札幌市)で選んだ「かっぽんベリー・ピスターシュ」は逆パターンだ。王位戦のための特注スイーツだったが、地元の定山渓観光協会によると、あまりに問い合わせが多く、8月末まで1日20個限定で急きょ商品化されたという。

みよしも、定山渓観光協会も「今でも問い合わせがあります。地元に貢献してもらえる影響力に頭が下がる思いです」としていた。