エンゼルス大谷翔平(28)が大リーグ史上初となる規定投球(162)と規定打席(502)の「ダブル規定達成」の快挙を成し遂げた6日、大谷が生まれ育った岩手県奥州市も歓喜した。

「3番投手」で先発出場したアスレチックスとの最終戦で初回を三者凡退に抑え得て規定投球を達成した。5回1失点でマウンドを降り、2-3で敗れたが、自宅でテレビ観戦した奥州市総務企画部都市プロモーション課の大越克芳課長補佐は、「本当の意味で二刀流の価値が出た数字。去年のMVPもすごかったですが、投打両方の一流の規定をクリアしたシーズンだった」とたたえた。試合開始が午前5時だったため、市職員そろっての観戦はなかったが、毎月17日とリアル二刀流デーは職員がエンゼルス大谷Tシャツを着用して業務を行いながら応援することが通例となっている。試合後には市庁舎内に設置されている「大谷メーター」も更新された。

市は「大谷翔平選手ふるさと応援団」を結成し、過去には市民による現地応援ツアーも開催してきたが、ここ数年はコロナで断念。「今のままコロナが収まって来年度に(アメリカに)行ければいいなと思っています」とツアー復活計画にも拍車がかかりそうだ。

11日からは「全国旅行支援」も開始されるため「新幹線の水沢江刺駅には大谷選手に関する展示物がたくさんありますし、各所で大谷選手への盛り上がりを感じていただくことも出来ますので、ぜひ岩手に足を運んでいただきたい」と期待した。市内には大谷握手像などを含め、ファンの“聖地”が点在する。11月23日には応援トークイベント「“翔タイム”2022」が同市内で開催され、大谷が日本ハム在籍時のコーチで現在は侍ジャパンコーチを務める白井一幸氏のトークショーも予定されている。

大谷の小中学校の先輩でもある倉成淳市長は「ケガなくシーズンを終えられたことに、まずは安堵(あんど)しています」。昨季のMVP受賞に続き、今季も自身最多15勝に加えて、ベーブルース以来104年ぶりの「2ケタ勝利2ケタ本塁打」や「ダブル規定」など記録ずくめのシーズンに「まさに『投打猛進』二刀流として歴史に残る活躍をされたことに心から敬意を表したい。真摯(しんし)に野球と向き合い努力した結果であり、地元も子どもたちにも大きな刺激になった」と賛辞を送った。

また、都内の岩手県アンテナショップ「いわて銀河プラザ」では、花巻東高時代を過ごした花巻市の物産展が開催中だ。花巻観光協会の高橋誠吾主任は「すごい記録だし、誇り。ひたむきな姿、楽しんでいる姿を見られることが市民としてうれしい限り」と感謝。「これからは紅葉もありますし、自然、温泉を含めて大谷選手が当時感じていた風情も魅力を味わっていただきたい。花巻東(野球部)グラウンドには昨年のオールスターで菊池雄星選手とダブル選出された記念碑もあります」と来県を呼びかけた。【鎌田直秀】