葉梨康弘法相は10日、参院法務委員会で、9日の会合で「だいたい法相は朝、死刑(執行)のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのはそういうときだけという地味な役職だ」など、法相の仕事を軽視するような発言をしたことについて、謝罪した。「おわびを申し上げ、撤回させていただく」と述べた。野党議員から辞職を求められると「法律にのっとって職務を果たす」と拒んだが、葉梨氏の今後について自民党内でも「厳しい」など、懸念する声が出ている。
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過去に、自身の言動が理由で辞任に追い込まれた法相は少なからずいるが、永田町で今回の葉梨氏のように「国会軽視」のケースとして指摘されるのが、民主党政権で法相を務めた柳田稔氏の発言。
柳田氏は、菅直人改造内閣の法相だった2010年11月14日、地元広島での法相就任祝いを兼ねた会合で「法務大臣は2つの答弁を覚えておけばいい」「『個別の事案についてはお答えを差し控えます』と『法と証拠に基づいて適切にやっています』と、この2つを覚えておけばいい」などと発言した。
柳田氏は発言後、当時の仙谷由人官房長官から厳重注意を受け、予算委員会などでも謝罪した。しかし、当時野党だった自民党は、衆院での不信任決議案、参院での問責決議案提出の動きをみせ、辞任圧力を強めた。また、柳田氏が法相として出席した衆院法務委員会では、自民党の河井克行氏が「歴代の法務大臣をみんな冒涜(ぼうとく)する発言。あなた自身が、法務大臣としての職を汚している」と追及した。ちなみに河井氏はその後、第2次安倍政権で法相に就任したが、自らも辞任に追い込まれている。
柳田氏は結局、発言から1週間あまりが経過した同22日、辞表を出し、法相を辞任した。同年9月の就任から2カ月あまり。政権内には、補正予算案審議を控える中、国会審議への影響を不安視する声もあり、菅首相による事実上の更迭だった。【中山知子】

