岸田文雄首相の荒井勝喜秘書官が3日夜、LGBTなど性的少数者や同性婚のあり方について発言した際に「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」と、報道陣に述べていたことが4日未明、関係者への取材で分かった。性的少数者に対する差別発言で批判は避けられず、重大な問題に発展する可能性がある。

関係者によると、発言はオフレコを前提にしたものだったという。荒井氏は、同性婚が導入された場合を念頭に「社会のありようが変わってしまう。国を捨てる人、この国にいたくないと言って反対する人は結構いる」とも語ったという。 一連の発言が明らかになった後、荒井秘書官は「誤解を与えるような表現で大変申し訳ない。撤回する」と謝罪し、撤回する意向を示した。「首相に申し訳ない。私個人の意見で迷惑をかけた」と述べ、プライベートな意見とした上で「こういうポストにある人間が言うのは望ましくない」とも、語ったという。

荒井秘書官は、筆頭格の政務秘書官を務める嶋田隆氏と同様、経済産業省の出身。就任以来、首相の国会答弁や演説、会見での「スピーチライター」を担当している。

岸田首相は同性婚の法制化をめぐり、1日の衆院予算委員会で「極めて慎重に検討すべき課題」「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」などと述べ、慎重な立場を示していた。

首相秘書官をめぐっては、岸田首相の長男で政務担当秘書官を務める岸田翔太郎氏(32)が、先月の欧米訪問の際に官用車を使って首相が閣僚らに配るおみやげを購入したことが発覚し、首相が国会で釈明する事態に追い込まれた。

一方、今回の荒井秘書官の発言は重大な差別発言。岸田首相にとっては「身内」ともいえる首相秘書官に立て続けに問題が生じており、苦しい立場に追い込まれそうだ。