岸田文雄首相は11日、東京・品川のクリニックで、「慢性副鼻腔(びくう)炎」の治療で、内視鏡による全身麻酔の手術を受けた。手術は昼すぎに始まり約3時間40分後に終了。術後の経過も順調で、首相は同日夜、公邸に戻った。

首相はすぐにツイッターを更新。「手術が無事終わり、公邸に戻ってきました。多くの方からご心配や励ましの言葉を頂きまして誠にありがとうございました」と報告。「いま国内外で難問が山積しています。体調に万全を期した上でこの難局に臨んで参りますので、月曜から引き続きよろしくお願い致します」とつづり、予定通り13日から公務に戻る意向を示した。15日には衆院予算委員会の集中審議が予定されている。

クリニックに入る際には、長男の岸田翔太郎秘書官(32)が同行した。翔太郎氏をめぐっては、先月の欧米訪問の際に官用車を使ったおみやげ購入や観光が週刊誌に報じられ、首相が国会で追及される事態に。今月3日には、性的少数者などへの差別発言で荒井勝喜氏が首相秘書官を更迭され、首相は秘書官の問題に振り回され続けている。

ただ、この日ばかりは「首相の精神安定剤」(関係者)といわれる翔太郎氏が無事に?役回りをこなす機会になったとみられる。

首相は昨年来、鼻づまりに悩まされ、国会答弁の際に鼻声で話す場面が目立った。今後も国会日程は立て込み、外交日程や5月の広島サミットへの準備も本格化するため、早期の症状改善が必要な状態だったのは間違いない。一方、最近、永田町には「4月衆院解散」のうわさも飛び交い、体調を万全にした首相による想定外の「仕掛け」を警戒する向きもある。【中山知子】