大型連休中の5日午後2時42分ごろ、石川県珠洲市で震度6強の地震があった。気象庁によると、震源地は能登地方で、震源の深さは12キロ、規模はマグニチュード(M)6・5。20年12月から続く能登地方の一連の地震で震度、Mともに最大となった。

銘酒「大江山」を手掛ける能登町の老舗酒蔵「松波酒造」も被害を受けた。

若おかみの金七(きんしち)聖子さん(47)は地震の発生したときにトイレに入っていて「縦揺れとか横揺れとかではなく、家全体がぐるんぐるん回されているような感覚でした。こんな大きな地震を体験したことがなかったので、とにかくお店に避難しようと必死でした」と当時の様子を語った。

休日だったこともあり、店には祖母、父、母、妹がそれぞれ別の場所にいて無事だった。出掛けていたもう1人の妹も無事であることが分かり「安心しました。でも、本当に怖かった。自分の感覚では40秒ぐらいずっと揺れ続けている印象でした。そのあと、揺れを15回以上感じたので油断はできなかった」と振り返った。

店内の棚に並べていた約20本のワインが落下。散乱して床が真っ赤に染まってしまった。「古い家なのできしんで何かわからない粉のようなものが舞い落ちてきた。壁にも亀裂がはいったし、かもいが落ちて、ひいじいちゃんの肖像画も床にたたきつけらえた。これから片付けるのが大変なのかな」と金七さんは話す一方で「ガスや水道、電話も大丈夫。食料も田舎なので困ることもない。今後、能登地区の観光がしぼんでしまうかもしれないことが怖いですね」と話した。

そして、今後天候が崩れていきそうなことも心配のたねだ。「まだ瓦を調べていない。家の中で雨漏りとかしないか、注意ははらっていきたいです」と話した。【寺沢卓】