第105回全国高校野球選手権出場へ、夏の甲子園を目指し、47都道府県で地方大会が繰り広げられている中、9日、全国屈指の激戦区、神奈川大会1回戦で、自民党の大物政治家と同じ姓同士の高校による「対決」が実現し、SNSが大きく盛り上がった。

注目のカードは、麻生(あさお、学校所在地は川崎市麻生区)と、菅(すげ、川崎市多摩区)の対戦。読み方は異なるが、文字通り、自民党の麻生太郎副総裁(82)と菅義偉前首相(74)による「元総理大臣対決」だった。

試合は初回に4点、2回に3点を入れた麻生が、序盤の大量リードを守り切って、8ー1で7回コールド勝利し、2回戦に進出した。この結果に、SNSでは「注目の元総理対決は太郎さんの勝ち」「野球以外でバチバチ戦ってそうな対戦カードがあった件」「麻生さんの力は絶大か?頑張れ菅さん…」などのコメントが寄せられた。

本家の麻生氏と菅氏も、力関係をめぐっては現在、対照的な立場にある。麻生氏は、茂木派とともに岸田文雄首相を支える麻生派の領袖(りょうしゅう)で、現政権では主流派。一方、菅氏は2021年9月の首相退任後、一時「菅派」結成の動きが取りざたされたこともあったが、実現していない。首相退任前に、当時前政調会長の立場だった岸田首相が自民党総裁選出馬を表明したことで、自身の総裁選再選戦略が崩れ、引きずり下ろされたような形で退陣に。岸田首相とは距離があるとされ、今は非主流派の立場だ。

ただ菅氏の立場も最近、変化の兆しがみえてきている。現在の自民党執行部のもとで、これまでは良好だった公明党との関係が悪化の一途。次期衆院選で新設される東京28区での候補者調整が難航したのを機に、自民党は公明から次期衆院選の東京での選挙協力解消を突きつけられた。茂木幹事長ら現執行部は、以前より公明党とのパイプが細いとされることも一因といわれ、「連立解消論」まで取りざたされる。

これに対し、菅氏はかねて公明党の組織母体である創価学会との太いパイプを持つことで知られる。先月末には、さいたま市で開かれた公明党の会合に出席。公明党との関係修復に向けた「パイプ役」として、キーマン復活への期待が寄せられているのだ。

今月1日には菅氏が麻生氏、茂木氏と東京都内でゴルフをする様子も報じられた。3人でのゴルフは初めてとみられ、自民党内では、公明党との関係修復に向けた「ラウンド会談」だったと受け止められている。

高校野球では麻生氏に敗れた菅氏だが、次期衆院選という「本家」の戦いに向けては、キーマンとして存在感を高めることになりそうだ。【中山知子】