将棋の最年少7冠、藤井聡太王位(竜王・名人・叡王・棋王・王将・棋聖=21)が佐々木大地七段(28)の挑戦を受ける、「伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦7番勝負第5局」が22、23の両日、徳島市「渭水苑」で行われ、先手の藤井が95手で勝ち、シリーズ対戦成績を4勝1敗とし、王位4連覇を達成した。8大タイトルのうち7つを保持する藤井は、残る王座戦でも挑戦権を獲得しており、史上初の全8冠制覇に向け、弾みをつけた。

戦型は横歩取り3三角型。佐々木が藤井のエース戦法「角換わり」を外し、横歩取りの戦型に誘導。序盤から駒が次々とぶつかった。佐々木の封じ手は1筋の角打ち。「打たれたら一番、嫌な手だった」。長考に沈んだ藤井は、53手目、得意の筋違い角打ちで対抗。終盤に入っても、お互いが1歩も引かない大熱戦。最後は際どい攻め合いを持ち前の終盤力で押し切った。

「序盤から難しい将棋で、中盤にかけて失敗した気がする。しっかりと振り返りたい」

これで本年度、先手番は12戦全勝。20年の棋聖戦で初タイトルを獲得して以降、通算タイトル獲得数を歴代7位の17期に更新。失敗せず全てを制した。タイトル獲得率は100%。無双状態のまま全8冠制覇へ挑む。

全国各地を転戦したシリーズを振り返り「序盤からじっくり考える将棋が多く、自分に足りないところが明確になったようなところもあった。いろいろ経験できたことはとても勉強になった」。強くなるための課題も感じた。

永瀬拓矢王座(30)との王座戦5番勝負は31日、神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で開幕する。「挑戦者としての戦いになる。ぶつかっていく気持ちでやっていきたい」。中7日での過密日程との戦いになるが、真夏の体調管理は抜かりはない。ホテルなど環境が変わっても「眠ることができなかったことはない」という「特技」がある。タイトル戦でも睡眠時間はいつも通りの8時間が目標だ。室温は23度に設定。質の高い睡眠を心掛けている。いざ、全8冠制覇へ、心身ともに充実している。【松浦隆司】