衣類通販大手ZOZOの創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏(47)は12日、21年に日本の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)に12日間滞在するまでの道のりと、帰還するまでを描いたドキュメンタリー映画「僕が宇宙に行った理由」を製作し、12月29日から全国で公開すると発表した。
前澤氏は、21年5月に米宇宙旅行会社「スペースアドベンチャーズ」とロスコスモス(ロシア連邦宇宙局)のサポートを受けてISSに渡航、滞在する日本人初の民間宇宙飛行士になるための訓練を開始。モスクワ市郊外のガガーリン宇宙飛行士訓練センターを拠点として、約100日に及ぶ訓練を行った。そして同年12月8日午後12時38分(日本時間同4時38分)に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた、ロシアの宇宙船ソユーズMS-20に乗り込み、宇宙に向かった。打ち上げから約6時間後の同6時48分(同10時48分)に、ソユーズはISSとのドッキングに成功した。同20日午前8時52分には帰還の途につき、ISSとのドッキングを解かれたソユーズが宇宙空間に飛び立つと、前澤氏が乗り込んだ帰還モジュールは同午後12時13分にカザフスタンの平原に着陸し、地球に帰還。元TBS記者の秋山豊寛氏以来31年ぶり2人目の日本人の商業宇宙飛行となった。
「僕が宇宙に行った理由」は、前澤氏が過酷な検査やトレーニングを経て宇宙に飛び立つまでの道のりやISSでの12日間の滞在、そして地球へ帰還した後まで密着し、宇宙にまつわるバックステージを鮮明に詳細に描いた初めての作品となる。少年時代にハレー彗星(すいせい)を見たことで宇宙に興味を抱き、「どうしても、宇宙に行きたかった」と語る前澤氏が、民間人として宇宙に行くことができることを知り、人知れず宇宙旅行プロジェクトを始動したのが15年。そこからカメラを回し始め、21年にソユーズが打ち上げられるまでに要した期間は約7年。宇宙に魅了され、夢に向かって挑戦し続ける1人の男の姿と、迫力のある音や映像の打ち上げシーン、ISS滞在中の貴重な宇宙での映像が1つの映画として描かれた。
監督は、前澤氏のマネジャー、関連会社役員としてともに宇宙に向かった平野陽三氏(36)が、初めて監督を務める。平野監督はコメントを発表した。
「前澤さんの宇宙旅行に同行してから約2年が経ちました。この体験を映像作品として残すことがある種の責任のように感じていたので、本作が公開となることを大変うれしく思っています。ロシア・カザフスタンでの数カ月に及ぶ訓練生活や、ロケットの爆発的な打ち上げとは対照的な静かな宇宙と、そこから見えた美しい地球など、非日常すぎるけど決してフィクションではない、ドキュメンタリーだからこそのリアルな映像をお楽しみください。近い将来、多くの人が普通に宇宙旅行をする日が訪れます。宇宙への行き方とは? 宇宙に行くとはどういうことなのか? そして映画のタイトルにもあるように、会社を退任してまで、なぜ彼は宇宙へ行ったのか? 大人になっても少年のような好奇心を忘れず、たくさんの人々に支えられながら夢をつかむその姿を、無限の可能性を持つ子ども達に、そしてかつて夢を描いたすべての大人の皆さまに見ていただきたいと思います。単なる宇宙の記録映像としてだけでなく、夢をかなえる強い信念、挑戦し続ける意味、それを支える仲間の大切さなど、そのヒントをこの作品の中に見つけていただけたら幸いです」
製作、公開を発表した9月12日は「宇宙の日」。毛利衛氏が日本人として初めて、アメリカのスペースシャトル「エンデバー」に搭乗して宇宙に飛び立った日で、国際宇宙年である1992年(平4)の日本の科学技術庁(現・文部科学省)と宇宙科学研究所(現・宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)が制定した。

