18年ぶりアレが目前となり、大阪・ミナミの繁華街も厳戒態勢に入った。

道頓堀に架かる戎橋周辺では、アレのたびに狂騒劇が繰り広げられ、優勝を喜ぶファンが道頓堀川にダイブしてきた。

大阪府警は繁華街のミナミやキタなど府内の警戒地域を1300人規模で警備する方針だ。03年が2000人態勢だっただけにこの数が多いか少ないかの判断は難しいが、道頓堀周辺を管轄する南署の関係者は「署員ほぼ全員で対応する」と総動員でミナミの警戒に当たる。当時とは異なり、橋の両脇にはスロープが設置され、容易には飛び込みにくい構造になった。サッカーW杯などではスロープの封鎖や隣の道頓堀橋にも柵を立てるなどしてダイブを阻止した。必要があれば道路の封鎖も行うといい「集まって喜びたい気持ちは分かるが、飛び込んだり、命に関わるようなことはやめて」とくぎを刺した。

道頓堀の遊歩道「とんぼりリバーウォーク」を管理する南海電鉄関係者は「通常通りの雑踏警備は行う。南署などと協議しながら、状況次第では立ち入り禁止も行うかも」と話した。

周辺約140店舗が加盟する道頓堀商店会はアレ決定時の対応を「各店舗の判断」とした。戎橋の南側にある「かに道楽」道頓堀本店やロッテリア、近隣ビルの飲食店などはアレと同時に閉店する予定だ。道頓堀商店会の谷内光拾事務局長は「コロナを経てやっと人が戻ってきた。人が集まるのは基本的にはうれしい」とした上で、「ほんの一部の人がハメを外す。ニホンウナギが捕れたと話題になったけど、きれいになったと言っても大腸菌だらけ。タクシーは断られるし、風呂も入れない。上がれる場所も1カ所しかない。何より危ないから絶対にやめて。楽しく祝ってほしい」とダイブの自粛を求めた。【阪口孝志】

○…85年のVでは、ケンタッキーフライドチキン道頓堀店(98年に閉店)にあったカーネル・サンダース像が、狂喜乱舞したファンに道頓堀川へと投げ込まれ、かに道楽のカニの脚が折られた。03年のVではカニの目玉が盗まれた。この年は約5300人がダイブしたとされ、男性1人が死亡した。サッカーW杯の日本代表戦当日や正月のカウントダウン、ハロウィーンなどでも暴行や器物損壊、公然わいせつといった“乱暴狼藉(ろうぜき)”が繰り広げられた。中でも、川へのダイブと橋の上でのジャンプは特に危険として、市や警察が警鐘を鳴らしている。