五反田のランドマーク的存在で、3月に閉館していたTOC(東京卸売りセンター)ビルについて、運営する株式会社テーオーシーは9日、計画を見直し、建て替えの延期と、現在のビルで今年9月ごろをめどに賃貸及び催事事業を再開することを発表した。

同社は建て替えによる「新TOCビル計画」について「昨今の建築費高騰及びビル賃貸市況に鑑み、より高収益化を目指し、計画の見直しを行うことといたしました」と説明。現在のTOCビルについて、「令和6年3月末日をもって閉館いたしましたが、計画変更のため一定の期間を要することが見込まれることに伴い、改めてビル賃貸及び催事事業を再開する予定でございます。また建物の検査・メンテナンス・リニューアルを実施してまいります」とした。賃貸、催事の再開時期は、今年9月ごろを予定しているという。

建て替えの着工時期は2033年ごろになるとの見通しも表記。「投資効率の向上を図るため、新TOCビル計画に分譲レジデンシャル事業などを加えることも検討」するとした。

TOCビルは「鉄鋼王」と呼ばれ「ホテルニューオータニ」を開業させた元力士の実業家、大谷米太郎氏が、SF作家でもある星親一(星新一)氏が社長を務める星製薬の経営を引き継いだことを経て、同社ビル跡地に建設が計画され、1970年に完成。地下3階地上13階建てで、昭和の全盛期にはサンリオの本社が入居するなど、卸売り業のテナントビルとして物流の一大拠点となった。