著名人になりすまして投資などを薦める不正広告がインターネット上に出回り、多くの被害者が出ている問題で、ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏と、衣類通販大手ZOZO創業者の前澤友作氏が10日、自民党本部で開かれた会合に出席し、プラットフォームの規制強化などを強く求めた。

前澤氏は会合後の取材に、フェイスブックの運営会社である米IT大手メタ社を、米国で提訴する準備を進めていることを明らかにした。「具体的なことは決まっていないが、アメリカの弁護士と連携し、本国のメタ社を提訴する準備をしている。国内でも何かできないか検討している」と、話した。

前澤氏はこの日の会合で「フェイスブックとインスタグラムに、僕の写真を使ったなりすまし広告が出続けている。規制してほしいとメタに言ってほしい、なりすまし広告は一切、排除しませんかという提案をした。(政府与党には)素早い対応を求めたい。実際に詐欺被害に遭っている方がいっぱいいる」と訴えた。

自民党会合出席の経緯については「本当はいやですよ」と苦笑いしつつ「僕も被害に遭っているし、みなさんが被害に遭っている。被害額は去年だけで300億円近い。急いだ方がいい」と促した。

自身のなりすまし広告に気付いた時期は「宇宙から帰ってフェイスブックをみたら、そうなっていた」と述べ、2021年12月の国際宇宙ステーション(ISS)滞在から戻った後からだと明かした。削除要請をしていたが改善されず、昨年9月、弁護士を通じて米メタ側に初めて文書を送ったというが、メタ側からは「頑張ってAIを使ったり、人力で広告を審査してなくすよう努力しているが全部はなくせない、勘弁してくださいみたいなことをおっしゃる」と明かした。「(このままでは)今後、僕が自分で広告を出して広告塔になって大事なことを伝えたい時、本当の広告もにせものなんだと思われる可能性がある。未来の僕の活動にも影響しており、なんとかしたい」と述べた。

「ヨーロッパではそういう規制がしっかりしている。その点、日本は後手後手に回っている感じ」とも指摘。「プラットフォーム規制は政府にやっていただかない、となかなか進まない。迅速な対応を期待している」と、国の早急な対応に期待を示した。

「被害に遭っている方には、本当に申し訳ない。少なくとも僕が広告塔になって、僕がもうかる(と言っている)みたいに見えた広告を、みなさんが押されてだまされている。僕の責任も感じている。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。早く解決したい」と繰り返し訴えた。独自の調査では「なりすまし広告の半分くらいは、僕の名前や肖像が使われている感じがする」とも指摘した。

警察庁のデータによると、昨年のSNS型投資詐欺の被害は2271件にのぼり、被害額は277億円に達している。今年はさらに増える恐れが指摘されている。会合の冒頭であいさつした自民党の平井卓也デジタル社会推進本部長は「今回の事案は見逃せない。急いで動かないといけない」と危機感を口にした。今後、被害防止などに向けた協議や対応を急ぐ方針。