藤井聡太棋聖(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将=22)への挑戦権を競う、将棋のヒューリック杯第96期棋聖戦挑戦者決定戦、永瀬拓矢九段(32)対杉本和陽五段(33)戦が25日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。対局は、今期の挑戦者決定で大旋風を巻き起こしている先手の杉本が不利な局面をひっくり返しての逆転勝ち。初の挑戦者決定戦進出で2017年(平29)のデビュー以来、初めてのタイトル戦挑戦を決めた。同時に五段昇段後にタイトル挑戦の条件を満たして、六段に昇段した。
苦闘の末に、大舞台への初切符をもぎ取った。三間飛車から名人戦挑戦視野の永瀬にぶつかっていく。「準備してきた形にはなった。昼食休憩で想定から外れて思わしい順が見えなかった」。終盤まで形勢は思わしくなかった。優勢だった永瀬が決め手を欠き、チャンスが転がり込んできた。
「腐らないでやってきて良かったと思います」。大波乱の立役者は自信の棋士人生を振り返った。1991年(平3)9月1日生まれで、17年4月にようやくプロ(四段)になれた。そこから約8年、1次予選から勝ち上がってきたダークホースが、初めての挑戦者決定戦でタイトルはさ挑戦を決めた。棋聖戦で1予からの勝ち上がり者が挑戦者となったのは、20年の藤井以来5年ぶりだ。
「棋士になっ時、自分がタイトル戦に出られるとは思っていませんでした」と終局後に語ったのは、正直な心境だろう。
遅咲きの挑戦者が次にぶつかるのは、史上最年少タイトル保持者。「人生でもなかなかない機会だと思い。できることをすべてやって準備したい」。思い切って指すだけだ。

