東大公共政策大学院の鈴木一人教授が、18日配信のABEMA報道番組「Abema Prime」に生出演。参政党のさや(本名・塩入清香)氏が参院選期間中に発言した「核武装が最も安上がり」との発言について、異論を示した。
番組では、米国トランプ大統領とロシアのプーチン大統領による会談の話題から、ロシアとウクライナの戦争や世界で広がる核抑止論が議題となった。
その中で「核武装は安上がり」発言について、コストパフォーマンス、タイムパフォーマンスという点で聞かれた鈴木氏は「コスパは悪いと思いますよ」と断言。その理由について「核兵器を持つということの最大のポイントは、核を核で抑止するということが前提になっている。つまり核兵器って、使うためというよりは、抑止するために持つ、というのが基本で、これは北朝鮮も同様に、攻撃をされないためには自分たちは核を持たなければならない(と考えている)」と前置きした。
鈴木氏は続けて「北朝鮮のように貧しい国の場合、資源をそこに集中させて自分たちを守ろうとしているので『最優先されるのは核である』ということになっているから、何となく核だけ持ってればいいじゃないか、みたいな雰囲気になって、おそらく『核兵器安上がり』という議論が出てきたんだと思う」と推察。その上で「基本的には核兵器と核兵器で抑止が成立していると、その下で起きている通常兵器を使った紛争って無限にエスカレートしていくんですよ。それの一番いい例が、今のウクライナなんですよね。ちょっと変形的な核抑止なんですけど、NATO諸国とロシアの間で核抑止が成立していて、核は使われないだろう、というのは、たまにプーチンは脅しに使いますけど、(核は)使ってないんですよ。核は使われないだろう、という前提に立った上で、じゃあその先、核戦争がないから、いくらでも自分たちは通常兵器の戦争をする、と。そうすると結局、核兵器を持っていても、通常兵器の戦争に対する備えをしなくてはいけないから、同じように核兵器を持っていても持っていなくても、通常兵器をしこたま持たなくてはいけない」と指摘した。
スタジオから「核を持っていれば通常兵器を持たなくていい、みたいな論もありますけど、そういうわけじゃない?」と声が上がると、鈴木氏は「そういうわけではない、ということですね。むしろもっと、必要になるかもしれない。今のアメリカも世界最強の軍隊といいますけど、核兵器を持っていて、かつあれだけの空母とか持っている。通常兵器にも金をかけている。全然安上がりじゃない」とあらためて明言した。
さらに「ウクライナが核を持っていれば現状は違ったのでは」という声に対しても、鈴木氏は「どうなんでしょうね」と否定的にとらえ「核兵器を持っているから戦争にならないか、といったら今、核兵器を持とうとしているイランと、核兵器を持っていると言われているイスラエルの間で、ミサイルのやりとりが、ついこの間、あったわけですよね。核兵器を持っていたって起こる時には起こるんですよね。ですから、それは幻想でしかないと思います」と語った。

