将棋界の新旧レジェンド棋士、藤井聡太6冠(竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将=23)と羽生善治九段(55)が、29日放送のNHK-Eテレ「ETV特集 藤井聡太と羽生善治 対談 一手先の世界へ」(土曜午後11時)に出演した。

番組内では、俳優で現在公開中の映画「盤上の向日葵」では将棋をしばらく忘れていた主人公(坂口健太郎)をその世界に再び引きずり込む役を演じた渡辺謙からの質問にも答えた。

渡辺から、「盤上に駒を並べて相手が目の前にいる。その時の感覚はまったく無なのか、それともその対戦相手に合わせて何か対局のイメージといった者を持っていらっしゃるのか。まったく無の状態からスタートするのか」と問われた。

羽生は「初めて対戦した時は無のところから始まる。多い人だと100局以上対戦している。茶道の一期一会じゃないですけど、同じ人と対戦はしているけど、新たな気持ちで対戦しているという感覚ですね」と応じた。

藤井は「対局開始の時に相手の方の存在感をどの程度感じるか、自分自身のコンディションの1つの物差しであって、大きく感じる時は自分自身がそれに押されてしまっているようなところもある。状態が良いときはそういう感覚がなく、すっと盤面に入っていける感覚がします」と明かした。

また、「将棋を仕事として思っていらっしゃるのか。僕はその日のスケジュールを見て、何時にどこへ入るかまでは仕事、衣装を着けてメークをしてカメラの前に立つと仕事という感覚はない。盤上に対戦相手を迎えて座った時、それを仕事と思って時はあるのか」とも尋ねられた。

羽生が先に、「大部分の人たちはオンとオフがあると思う。(将棋の棋士たちは)オンとオフの線引きがあいまいな世界でずっと暮らしているという感じです」と語った。

藤井は、「私の感覚だと半々に近いのかなと思います」と言った。「自分自身の状況に左右されずに、しっかりと普段から取り組むのは仕事としての責務かなと思います。一方で実際に対局日の朝に盤に向かった時というのは、仕事という感覚は全くなくて」と続けた。「将棋を指すというのは子どものころから、ずっとまったく同じことなので楽しんで指せたらいいなという感覚でいるので、そういう点で半々というのが近い感覚のような気がします」と説明していた。