伝統の一戦、天皇賞・春(G1、芝3200メートル、5月1日=阪神)の追い切りが27日、東西トレセンで行われた。「追い斬り激論」では、網孝広記者が阪神大賞典を連覇したディープボンド(牡5、大久保)を猛プッシュ。一方、岡本光男記者は成長著しいマカオンドール(牡4、今野)が、阪神大賞典4着から逆転する可能性もあるとみた。

網 伝統の一戦だけに、おっさん2人で激論です。

岡本 88年タマモクロスは印象に残ってる。94年ビワハヤヒデは阪神開催だったね(コース改修前)。07年のメイショウサムソンも強かったなあ。

網 さすが、チーム極ウマの生き字引! 今年はディープボンドが歴史に残る強さを見せるでしょう。最終追いは和田竜騎手を背に抜群でした。雨上がり、不良のCウッドで6ハロン81秒4-11秒5。伸びやかでダイナミックなフォームでしたし、追われてからぐんぐん加速しました。文句なしのS評価です。鞍上も「余裕のある動きで、折り合いも心配なく、乗っていて気持ちが良かった。今から何かを求めることはない」と満点評価でした。

岡本 去年は2着。今年も阪神大賞典勝ちからのローテやけど、雪辱できる?

網 和田竜騎手は「今年の阪神大賞典は、去年と質が違う。僕の中では今年の方がいい走り」と確かな進化を感じています。前走の上がり34秒6は自身最速。自慢のスタミナに加えて、切れ味が出てきた。これは大きい。大久保師も「走り方が上手になった。体幹に芯が通ってきた印象。前走も得意ではない流れになった中で勝ってくれた」と成長を感じています。

岡本 確かにボンドの充実は感じるけど、4歳馬にも今の時期に力をつける馬がいる。特に長距離馬にそういうタイプが多い。マカオンドールは、3歳時に緩い面があったので、その可能性がある。

網 最終追いは岡本さんのお眼鏡にかないました?

岡本 坂路で4ハロン53秒1-12秒2。かなり馬場の悪い中、馬なりでしっかりと駆け上がっていた。何より、僕が重視する1週前追い(20日)の動きがすごく良かった。Cウッドで6ハロン81秒6-11秒6。迫力があり、かつ素軽かった。

網 でも、前走の阪神大賞典はボンドの4着。0秒4差ですよ。

岡本 前走は久々の分、直線で息が上がった印象。長距離戦だけに、急仕上げでは厳しかった。その点、今回は素軽さがまったく違う。今野師は「前走に比べて息遣いも良くて迫力がある。最終追いの時計も動きも良かったし、態勢は整った」と確実な上昇を感じ取っていた。前走の0秒4差も逆転可能じゃないかな。

網 ディープボンドは1番人気が有力。マカオンドールは一発候補。どちらも楽しみです。

岡本 今年ここまでのJRA・G1・5戦で、関西馬は1勝。春の盾は関西馬が手にしてほしいね。