いざ世界一のタイトルへ! 2番人気のタイトルホルダー(牡4、栗田)がレコードVで最強王者を襲名した。

横山和生騎手(29)の勇敢な騎乗に応えて2番手から押し切り、G1馬5頭が集った頂上決戦で2馬身差の完勝。秋は凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=仏パリロンシャン)へ直行で挑戦する見通しとなった。

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どうだ! マスク姿の4万人超が見つめるスタンドへ、左手を差し出し、人さし指を立てた。俺たちがNO・1だ。横山和騎手とタイトルホルダー。2馬身差のレコードVで、現役最強馬を襲名した。

「ゲートをしっかり出して『それでも来るなら来い』というつもりで。ペースが速いかもしれないけど、リズム良く走れば結果はついてくると思った。僕がひるまないように、馬を信じて乗った。リズムを崩さず、他の馬に苦しくなってもらう競馬をしたかった」

逃げなくても強かった。選んだのは王道の競馬だ。1000メートル通過57秒6で飛ばす逃げ馬をにらみながら2番手を追走。道中は握る手綱を促しも抑えもしない。ハイペースでもマイペースだ。馬なりのまま4角で並びかけて先頭へ。359・1メートルの直線は、強さを誇示する独り舞台となった。

次に狙うは世界王者の座だ。レース後に凱旋門賞挑戦が明言された。栗田師は「(鞍上は)和生で予定しています。直行になると思います」と見通しを示した上で「想像する成長曲線をさらに超えている。これから先も成長してくれると思う」と、さらなる伸びしろを見込む。G1・3勝の日本代表として堂々と海外へ。手綱を託される29歳にとっても胸高鳴る挑戦だ。

「たくさんの名馬たちが挑戦してきて、甘くないとは思っている。一緒に頑張って、僕も成長していかないと。いい絆を築けていると思う。大切な存在。ジョッキーとしてすごく幸せ」

最強王者は秋へ向けて英気を養い、鞍上は函館へ帰って“馬漬け”の生活に戻る。「厩舎の人と話をしながら、馬をつくっていくのが楽しいんですよ」と笑う充実の日々だ。人馬とも今こそが伸び盛り。世界一のタイトルを目指し、王道を突っ走る。【太田尚樹】

◆タイトルホルダー ▽父 ドゥラメンテ▽母 メーヴェ(モティヴェイター)▽牡4▽馬主 山田弘▽調教師 栗田徹(美浦)▽生産者 岡田スタツド(北海道新ひだか町)▽戦績 12戦6勝▽総収得賞金 7億9311万1000円▽主な勝ち鞍 21年弥生賞(G2)、菊花賞(G1)、22年日経賞(G2)、天皇賞・春(G1)▽馬名の由来 選手権保持者。父、母父、2代母父がダービー馬なので