トレードマークの青色の厩舎服。そして白髪をなびかせ、熱波の美浦トレセンを悠然と闊歩(かっぽ)する国枝栄師(67)。3冠牝馬アパパネ、日本初の芝G1・9勝馬アーモンドアイを育てるなど、日本を代表する名伯楽に新たな記録が加わりそうだ。JRA通算1000勝のビッグメモリアルまであと1勝に迫っている。記録達成なら史上15人目。現役では唯一の快挙だ。国枝師は「数字は後からついてくるものだから。やることは変わらない」と偉業を前に気負いはない。

5週連続勝利中だった東京開催が終わり、今週から関東主場は福島に移る。「東京、中山以外では福島で勝っているイメージがある」というように、福島の103勝は現役トップ。2位宗像師の78勝を大きく突き放している。自身の中央全10場別の内訳を見ても、東京332勝、中山311勝、新潟104勝に次ぐ4番目。勝率でも札幌の13・6%、東京、中山の12・7%に次ぐ11・9%と高い数字を誇っている。

今週は福島、函館に5頭がスタンバイ。近走成績から土曜函館10R洞爺湖特別のクライミングリリーのチャンスも大きいが、日曜福島5R(芝1800メートル)には期待の新馬ロジザキアを送り出す。師は「乗り役(菅原明騎手)も調教に乗っていい動きだと言っていた。スタートは出る方だし、東京よりも福島が合っていると思う」と評価。名伯楽の偉業達成に注目だ。【舟元祐二】

◆現役調教師の福島競馬場勝利数 1位国枝(103勝)、2位宗像(78勝)、3位相沢・萩原(63勝)、5位手塚(62勝)でベスト5はすべて関東の調教師。