欧州遠征中のキングエルメス(牡3、父ロードカナロア、矢作)が参戦するG1ジュライC(ニューマーケット、芝直線1200メートル)が9日土曜に行われます。

その名の通り、7月にニューマーケット競馬場で夏に使用されるジュライコースを舞台とするジュライCは、今年で142回目を迎える伝統の短距離戦。英国に5つある芝1200メートルのG1(2歳戦除く)の1つで、過去の勝ち馬には快速馬サクライワイの父として知られるマタドア、皐月賞馬ダイナコスモスを送り出したハンターコムなど、日本にゆかりのある馬が名を連ねています。

00年には当時5歳でロイヤルアスコット開催のG1キングズスタンドS2着から臨んだアグネスワールドが、武豊騎手を鞍上に1番人気で優勝。日本調教馬として初めて英国の重賞を制す快挙を成し遂げました。

5日火曜の段階で出走予定は16頭。1番人気は前走のG1プラチナジュビリーS(アスコット、芝直線1200メートル)の3着から、英国に居残って巻き返しを狙うアルトーリアス(牡4、父フライングアーティ)。同2着のクリエイティブフォース(せん4、父ドバウィ)と、前走のG1コモンウェルスC(アスコット、芝直線1200メートル)を含めG1・3勝の実力馬パーフェクトパワー(牡3、父アーダッド)の2頭が2番人気を分け合っていますが、パーフェクトパワーのR・フェイヒー調教師は、レース当日に予想される雨で馬場が悪化しそうな場合は回避して、翌日の10日日曜にフランスのドーヴィル競馬場で行われるG1ジャンプラ賞(芝1400メートル)に向かうことを示唆しています。

キングエルメスは単勝26倍で8番人気タイ。芝1200メートルは新馬戦(1着)しか経験がなく、直線競馬も初めて。それでも近親にはフランスの2歳の芝マイルG1グランクリテリウム(現ジャンリュックラガルデール賞=芝1400メートル)を勝ち、G1愛2000ギニー3着のセカンドエンパイアがいて、血統背景は欧州向きです。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)