3番人気ジャックドール(牡4、藤岡)が、G1馬5頭が集った「スーパーG2」を制し重賞2勝目を挙げた。最後は逃げたパンサラッサとの一騎打ちとなったが首差競り勝ち、秋へ向けて大きな1勝を手にした。勝ち時計は2分1秒2。

今後は大目標である天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、10月30日=東京)を目指す。

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直線の攻防にスタンドが沸く。ジャックドールが逃げ粘るパンサラッサに並びかける。藤岡佑騎手に懸命に追われ馬体を併せるが、相手も内でしぶとく粘る。ゴール前、鞍上がステッキを連打すると、最後の力を振り絞ってもうひと伸び。首差前に出ると、差し返しを許さなかった。

「正直、余力はなかったです。1度出た首差を必死に守ってくれて、ジャックドールが本当に頑張ってくれました」とパートナーに感謝した。“消耗戦”という言葉がぴったりのレース。週中の雨の影響もあり、良馬場発表でも馬場は緩く、荒れていた。1分59秒5の昨年より、1秒7も遅い勝ち時計がそれを物語る。そんな中でも3~4角から早めに仕掛け、ドバイターフ覇者のパンサラッサを競り落とした。

逃げなくても強かった。2走前の金鯱賞では逃げて1分57秒2のレコード勝ちを飾ったが、能力を信じればこそ、控える競馬を選択した。落ち着いて追走し、機をうかがった。「ほぼ想定していた通りの形。思っていたのと違ったのは、考えていた以上にジャックドールがぴたっと折り合ってくれた。それが一番の勝因です」。4カ月ぶりの始動戦で春からの成長を感じさせた。

見守った藤岡師は「非常にタフな競馬で、このメンバーで勝ち切ってくれた。秋の大目標へ疲れを取って、いい状態で臨みたい」と先を見据えた。初めてG1に臨んだ4月の大阪杯は5着。「逃げても控えても」強いジャックドールが、秋のG1戦線で主役を張る。【網孝広】

◆ジャックドール ▽父 モーリス▽母 ラヴァリーノ(アンブライドルズソング)▽牡4▽馬主 前原敏行▽調教師 藤岡健一(栗東)▽生産者 クラウン日高牧場(北海道日高町)▽戦績 11戦7勝▽総収得賞金 2億3864万円▽主な勝ち鞍 22年金鯱賞(G2)▽馬名の由来 人名より+黄金(仏)