骨折明けも不安なし。秋華賞(G1、芝2000メートル、16日=阪神)の1週前追い切りで、2冠牝馬スターズオンアース(牝3、高柳瑞)が上昇を感じさせる動きを見せた。

美浦ウッドでの併せ馬で5ハロン67秒8-12秒2をマーク。前走に続いてコンビを組むクリストフ・ルメール騎手(43)も順調な調整ぶりにご機嫌。史上7頭目の3冠牝馬誕生が現実味を帯びてきた。

   ◇   ◇   ◇

女王がすごみを増してきた。2冠牝馬スターズオンアースが馬なりでチップを蹴り上げる。重賞馬ホウオウイクセルにさっそうと並びかけた。4角で4馬身ほどに広がった差は、楽な手応えで埋まっていった。ルメール騎手の両拳は首元に添えられたまま。鞍上は「フットワークも良かったし、自分でペースアップしましたね」。内から半馬身先着に納得の笑みが浮かんだ。

成長に停滞感はない。オークス優勝直後、両前の第1指骨骨折が判明した。幸いにも症状は軽度で、骨片摘出手術後は秋に備えることができた。7月下旬からは放牧先で人を乗せた調教がスタート。高柳瑞師は「骨折した箇所はきれいになっているし、問題はないです」と話すように、何とか“間に合わせた”という印象もない。9月13日の帰厩後は上昇カーブを描き続ける。

寒風吹く美浦でルメール騎手がご機嫌だったのも、そのためだ。「馬の状態は良さそう。追い切りが終わっても全然疲れていない」。中間の馬体重10キロ増は進化の表れ。前走のオークスは発走時間が15分遅れるアクシデントにものまれず、大外枠から実力を示した。鋼のメンタルに強靱(きょうじん)な肉体をもってすれば、阪神内回りもさほど障害とはならない。「右回りでも桜花賞を勝ったから心配はしません。3冠馬になったらすごくいいです。自信をもって乗りたいです」。史上7頭目の3冠牝馬へ、3歳牝馬の1等星が輝きを放つ。【松田直樹】