単勝5番人気のグリューネグリーン(牡、相沢)が重賞初制覇を果たした。M・デムーロ騎手(43)を背に、五分のスタートからハナに立つと直線で再加速。抜群の粘りで後続を封じた。関東馬の勝利は9回目にして初めて。

相沢郁調教師(63)いわく「気性が課題」だが素質は高く、来年のクラシックを目指す。

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土曜阪神ではC・デムーロ騎手が3勝と大活躍。しかし、メインではお兄ちゃんが存在感を見せつけた。レース後、兄M・デムーロ騎手はグリューネグリーンについて「ゲートが心配だった」と明かしたが、五分にスタートを切るとそのままハナへ。相沢師は「まさか逃げるとは」と予期せぬ展開を案じたという。だが、直線でも勢いは衰えなかった。外によれる若さも見せながら坂下で再加速。最後に内から迫ってきたトップナイフを頭差抑えた。

「自分のリズムで走れば走る馬。まだ子供で集中していなかったけど、内から馬が来たら集中した。相沢先生が新馬から期待していた馬だし、うれしい」と鞍上は笑顔を輝かせた。

ミルコが語ったように師のグリューネグリーンに対する思い入れは強い。半兄ヴェルデグリーンは重賞を2勝したが、14年宝塚記念(12着)を走った約1カ月後、がんのため天に召された。5年半後に生まれた弟は「生き写しで、生まれ変わりかと思ったぐらい兄に似ていた」という。今もそれは変わらず、毛色は渋めの栗毛で体重も兄と同じ470キロ台。「パドックを見てもらったら分かるがそっくり」と師は目を細めた。

次走は未定だが、来年の目標はクラシック。兄の無念を晴らすべく大舞台に挑む。【岡本光男】

◆グリューネグリーン ▽父 ラブリーデイ▽母 レディーダービー(スペシャルウィーク)▽牡2▽馬主 斎藤光政▽調教師 相沢郁(美浦)▽生産者 本間牧場(北海道日高町)▽戦績 3戦2勝▽総収得賞金 4053万2000円▽馬名の由来 緑(独)+冠名