ジャパンCでG1初制覇を果たしたヴェラアズール(牡5、渡辺)の可能性は計り知れない。キャロットクラブで出資募集され、キャロットファームが所有。キャロットクラブの公式ホームページでは募集後の1歳夏からここまでの関係者の尽力が記されている。

1歳の9月末には左トモ(後肢)の球節に骨片が見られ、10月に骨片摘出手術。ウォーキングマシン中心の運動を行い、人を乗せた騎乗運動を始めたが、2歳の3月には右前脚の深管に痛み、7月には左前脚の歩様に違和感が出ている。同期の馬たちが続々とデビューを果たしている2歳秋、9月の時点では運動すらできず、舎飼(馬房で安静にしていること)で休養していた。当時の馬体重は594キロと伝えられている。初めて栗東の渡辺厩舎へ入厩したのは3歳の2月だった。600キロに迫る超大型馬が競走馬としてデビューするまでの道のりには牧場、厩舎で大きな苦労が伴ったであろうことは想像に難くない。

ヴェラアズールに出資した会員の思い、育成した早来ファーム、ノーザンファーム空港の思い、生産した社台コーポレーション白老ファームの思いを背に受けたヴェラアズールの快走だった。

ダート戦でデビューし、5歳春に満を持しての芝転向だった。所有するキャロットファームの采配、渡辺厩舎の絶妙な仕上げ、中間の調整を担当するノーザンファームしがらきの仕事も実った。芝にチャンレジし、6戦連続最速上がりをマークした「青い帆」ヴェラアズールの今後の針路に注目していきたい。