牝馬クラシック戦線に新星登場だ! ディープインパクト産駒の最終世代、ライトクオンタム(牝、武幸)が、直線大外から差し切り勝ちを決めた。父をほうふつとさせる抜群の瞬発力で、牡馬をねじ伏せた。鞍上の武豊騎手(53)はシンザン記念歴代最多8勝目で、前人未到のJRA重賞350勝目に到達。37年連続重賞勝利となり、自身の持つJRA記録を更新。21年ファンタジーS以来2度目の武幸師との“兄弟タッグ”重賞Vも達成した。

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ライトクオンタムが父譲りの末脚で出世街道の1歩を踏み出した。“怪物”ディープインパクトの最終世代で、鞍上はその背中を知る武豊騎手。そして“レジェンド”は、この勝利で重賞350勝目。まるで運命が引き合わせたようだ。

他の牡馬をねじ伏せた紅一点。跳び上がるようなスタートになり、後方からの競馬を選択した。7頭立ての後方から3番手で、じっくりと脚をためる。「最後の直線にかけるしかなかった」。その勝負に馬は応えた。

大外に持ち出してゴーサインを入れると、上がり最速の34秒6の末脚で一気に伸びた。父の面影がはっきりと浮かぶような直線の走り。シンザン記念歴代最多8勝目となった鞍上も「最後まで伸びてくれた。かなり素質があると思う。ディープインパクト産駒ですし、2回目でこのパフォーマンス。楽しみです」と満足げの表情だった。

日本にいる3歳のディープインパクト産駒はわずか6頭。「乗る機会もなかなか難しい。重賞を勝ててうれしい。やっぱり走りますね」とその血統に信頼を寄せる。37年連続の重賞勝利も達成し「SDGsな感じでいいんじゃないですか」と持続可能な開発目標という意味の流行語にかけて、笑顔を見せた。

3日時点で440キロだった馬体重は、この日428キロ。“兄弟タッグ”で重賞を制した武幸師は「やっぱり減りますね。状態自体はよかったので、そこは心配していなかったけど、今後は考えないといけない」と課題を挙げる。だが、馬体減の中で見せた力強い走りは、将来への大きな伸びしろも感じさせた。

「きゃしゃ馬だから、勝てたのはなにより。今日に関しては本当によかった」と師。わずか2戦目でタイトルをつかんだ良血馬。牝馬のクラシック候補に、強力な新鋭が飛んできた。【下村琴葉】

 

◆ライトクオンタム ▽父 ディープインパクト▽母 イルミナント(クオリティロード)▽牝3▽馬主 (有)社台レースホース▽調教師 武幸四郎(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 2戦2勝▽総収得賞金 4730万8000円▽馬名の由来 光量子。宇宙で一番速い光の粒子