4歳を迎えたナムラクレア(牝、長谷川)がワンランク上の馬となった。

牝馬には厳しいハンデ56・5キロを背負っての勝利。直線は“重量級”牡馬とのたたき合いになったが、息の長い末脚で3度目の重賞制覇を果たした。次走は、今回と同じ舞台で行われる高松宮記念(G1、芝1200メートル、3月26日=中京)。最有力候補として参戦することになる。

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2023年のスプリント王候補が顔をそろえた年明け最初のスプリント重賞。制したのは、4歳を迎えてたくましくなったナムラクレアだった。

ラスト100メートルの攻防。ミッキーアイルの娘は、内柵沿いを逃げていたマッドクールと、内へ切れ込んできたファストフォースに挟まれる形になった。両サイドはともに530キロ前後の巨漢馬。だが、472キロの牝馬ははじけるようにもうひと伸びした。「いい瞬発力で伸びてくれた。最後まで接戦で気が抜けなかったけど、よく頑張ってくれた」。浜中騎手はそのファイトをたたえた。

目指していたものが形になった。昨年も素晴らしい瞬発力を見せていたが「一瞬だけで長続きしなかった」と長谷川師は振り返る。そこで今年から調教パターンを変更。「坂路だと(きつくなる前に)走りきれてしまう。苦しくなってから踏ん張れるように」と年明けから3週続けてCウッドコースで追い切ってきた。

この日、クレアが発揮したラスト3ハロンは自己ベストを大きく更新する32秒9。瞬発力を持続してこそ出せる数字だ。しかも、牝馬には厳しい56・5キロを背負って。「そんな簡単なことではないと思っていたけど、少し持久力がついたかな。厩舎にとって自信になる結果だった」と大きな収穫を得た。

一躍、高松宮記念の最有力候補だ。浜中騎手は「自信を持っていける。このまま無事に行ってくれたら」と大きな手応えをつかんだ。昨年よりレベルアップした姿で、古馬となって最初のG1を迎える。【岡本光男】

◆ナムラクレア ▽父 ミッキーアイル▽母 サンクイーン2(ストームキャット)▽牝4▽馬主 奈村睦弘▽調教師 長谷川浩大(栗東)▽生産者 谷川牧場(北海道浦河町)▽戦績 11戦4勝▽総収得賞金 2億3645万円▽主な勝ち鞍 21年小倉2歳S、22年函館SS(以上G3)▽馬名の由来 冠名+女性名より