<リヤドダートスプリント>◇25日=サウジアラビア・キングアブドゥルアジーズ競馬場◇G3◇ダート1200メートル◇3歳上◇出走9頭◇1着賞金90万ドル(約1億1700万円)

3月から調教師に転身する福永祐一騎手(46)が25日、サウジアラビアでラストライドを終えた。2鞍に騎乗し、勝利はならなかったが、同行した翠夫人は最後まで献身的に見守った。

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ターフの緑に一段と映える青い着物が、異例ともいえるサウジアラビアでのラスト騎乗を導いたのかもしれない。

最後の騎乗を見守った翠夫人の着物の脚元には、騎手がまたがる馬の姿が刺しゅうされていた。

昨年10月、友人に誘われて足を運んだある個展で、その着物に出会った。

「自分から進んでは着ないかなと思ったけど『翠しか着る人いないよ』って言われて。着てみたら、いいなと思ったし、祐一さんも『いいやん』と言ってくれたんです」

すぐに購入を決めた。「これを着て、海外に行けるといいね」。そんな話をしたという。完成までは4カ月。その直後、ちょうど4カ月後の2月末にサウジ遠征が決まった。「ほんとに偶然だったけど、なんとか着ていきたいと思った」。自分で着られるよう、着付けの猛特訓も行った。

そして訪れた、福永騎手のラストライド。その引退の花道を青い着物が鮮やかに彩っていた。