今週の日曜東京メインは3歳世代の頂点を決めるダービー(G1、芝2400メートル、28日)が行われる。

皐月賞4着メタルスピードの生産者、タバタファーム(北海道日高町)は、半世紀を超える牧場の創業以来、初めて生産馬を日本ダービーに送り出す。3代目場主の田端修さん(57)は「ずっとここを目標にやってきましたから。ついにこの日が来てくれた、という思いですね」と感慨に浸りつつ、喜びを口にした。

愛馬は初勝利まで5戦を要したが、続く1勝クラスを連勝して一気に頭角を現した。重賞初挑戦のスプリングSで3着好走。迎えた前走皐月賞では、13番人気の低評価ながらG1掲示板に激走した。「キャリアを重ねて期待以上に走り、毎回、パフォーマンスが上がっているので頼もしいですよね」。

太平洋を望む自然豊かな放牧地で、約20頭の繁殖牝馬を繋養(けいよう)している。メタルスピードは母マイビビアーヌの6番子にあたる。「母は素質を見込まれながらも勝利できず、繁殖になりましたが、とても子出しが良く、骨格のいい子を産んでくれていた。成績が伴っていなかったですが、いつか走る子を出してくれると思っていました。ヨーロッパの重厚な牝系なので、距離もこなしてくれないかな」と期待を寄せる。

生産馬の中央芝G1はゴールデンジャックが94年オークス2着、その娘プリンセスジャックが13年桜花賞3着と奮闘している。届きそうで、届かないタイトルだが、今年はミクソロジー(牡4)が4連勝で2月のダイヤモンドSを勝つなど、牧場には追い風が吹いている。「メタルも1週前追いから、動きの良さが伝わってきているので楽しみにしています」。当日は決戦の地、府中で愛馬の激走を後押しする。【奥村晶治】