UAEダービー4着の1番人気ペリエール(牡、黒岩)が、ドバイからの帰国初戦の心配をよそに3馬身差の完勝で重賞初勝利を飾った。

直線は持ったままの手応えで楽に抜け出す横綱相撲だった。勝ち時計は1分35秒0。過去10年の勝ち馬10頭中7頭が後にG1馬(Jpn1含む)となった出世レースを、破格の内容で突き抜けた。今後は秋に備えて休養に入る予定だ。

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心配は無用だった。UAEダービーで世界を経験したペリエールにとって、走り慣れた国内では文字通り一枚違った。レース前までJRAでは3戦3勝。その余裕が見て取れた。最後の直線で逃げ馬を見ながら、内のサンライズジークとともに併せ馬のように上がって行く。隣がムチを入れても初コンビのルメール騎手はまだ動かない。まともにムチを振るったのは残り200メートルを切ってからの1発。合図を待っていたかのように急加速し、3馬身差の完勝で重賞タイトルをつかんだ。鞍上は「めちゃくちゃ強かった。初めてだけど彼のレースを見ていたし、乗りやすい馬だと思った。反応がとても良かった。速かった」と能力を絶賛した。

海外の経験を糧に出世レースを制した。G1・5勝のゴールドドリーム、21、22年のフェブラリーSを連覇したカフェファラオなど、後の日本ダート界の名馬たちが勝ち上がった登竜門。この一戦で世代をリードする立場になった。黒岩師は「直線ではいつでも勝てるような手応え。いろいろ経験して、耐えてきた馬。こちらは安心しながら見ていたし、同時に成長も感じ取れたレースでした」。歴代の勝ち馬にも見劣らない力を見せつけた。

夏は充電に充て、視線は秋へ。師は「今年はすでに3戦使っているので。1600メートルまでがベストの馬。これからは古馬ともやっていかないといけないので、じっくり備えていきたい」と話す。重賞ウイナーがさらなる高みに上るため、爪を研ぐ期間に入る。始動予定の秋が待ち遠しい。【舟元祐二】

◆ペリエール ▽父 ヘニーヒューズ▽母 ソフトライム(フジキセキ)▽牡3▽馬主 長谷川祐司▽調教師 黒岩陽一(美浦)▽生産者 チャンピオンズファーム(北海道新ひだか町)▽戦績 6戦4勝(うち地方1戦0勝、海外1戦0勝)▽総収得賞金 8950万4200円(うち地方840万円、海外659万3200円)▽馬名の由来 フランスの地名より