宝塚記念が終了し、JRAの競馬は上半期が終了した感があります。が、ビッグレースは世界中で続きます。今週は28日水曜に大井競馬場で帝王賞があり、日曜(2日)にはカラでアイリッシュダービー(愛ダービー)があります。「また、今年もアイリッシュダービーの季節だな…」。胸がキュンとします。
自分が初めてアイルランドへ行ったのは11年前、6月中旬の函館出張から帰京した翌週でした。6月30日、アイルランドダービー当日の朝に首都ダブリンへ到着。空港からバスと路面電車と列車でキルデアへ。キルデア駅からテクテク歩いていると、通りがかった車のおじさんが「乗って行きなよ」と…。住宅地を抜け、視界が開けると、かなたにカラ競馬場のスタンドが見えました。「おーーーーっ」。
2012年のアイリッシュダービーは無敗で英2000ギニー、英ダービーを制したキャメロットが主役でした。最初のレースが始まる前にはエイダン・オブライエン調教師、息子のジョセフ・オブライエン騎手(現調教師)たちが馬場を歩いています。日本競馬をPRするために来場していたJRAロンドン事務所の職員の方たちにもお会いしました。
ダービーは5頭立てで、この年は午後7時40分に発走。空にはまだ煌々(こうこう)と太陽が輝き、遠くの方から走ってくる馬たちが見えました。道悪に苦しみながら無敗を守って英愛ダービー馬に輝いたキャメロット。2馬身差2着は母アーバンシーの良血ボーントゥシー、4着はのちに香港へ移籍し、13年の香港カップで武豊騎手とトウケイヘイローを差し切ったアキードモフィードでした。取材申請をしておらず、普通に入場料を払って観戦していましたが、ダービーデーなので、入場料だけで40ユーロだったか、50ユーロだったか、「たっけえなー」と思ったことを覚えています。
日本からの直行便がない国、アイルランド。トレセンで取材をしていると、アイルランドの厩舎で働いていた経験を持っている厩舎関係者と知り合うことがよくあります。日本の生産者のたゆまぬ努力で、アイルランドからたくさんの馬が輸入されてきたことは、間違いなく日本競馬のレベルアップの大きな要因の1つです。トレセン内の海外研修旅行で短期間行ってきたという厩舎スタッフの方たちもいます。なかなか取材で行くことは難しく、周囲の記者もアイルランドの競馬を見てきた経験を持っている人は皆無ですが…、できれば、後輩の記者にも経験させてあげたいなあ、と思います。「休みが1週間あって、海外で競馬見てきたい? じゃあ、アイルランドでしょ。絶対アイルランドだよ」。11年前、そうやって肩を押してくれた松岡騎手にはどれだけ感謝しても感謝しきれません。
ということで、話が大きくそれましたが、日曜のアイリッシュダービーにはディープインパクト産駒の英ダービー馬オーギュストロダンが出ますね。英ダービー2着のキングオブスティールは先週のロイヤルアスコットを走った(G2を快勝)ので、おそらく出てきません。当面のライバルは英ダービー3着のホワイトバーチ、同4着のスプリーウェルになりそうです。おそらく少頭数。競馬に絶対はありませんから…、どんな結果になるのか、日曜の夜はドキドキワクワクです。
全休日の今日(月曜)は、仕事も休みでした。道南いさりび鉄道(函館~木古内)とバスを乗り継いで、松前町へ行ってきました。お城を見て、海苔弁(約10年ぶりに食べましたが、やっぱり最高においしいです)を食べ、英気を養うことができたと思います。上半期のG1の予想がボロボロだったことを切り替えるのは簡単ではありませんが、また、明日から前向きに生きていきたいと思います。
今週の函館は芝1800メートルの新馬戦も組まれています。明日の取材に備えて、しっかり寝ようと思います。おやすみなさい。【木南友輔】