大器が北の大地で本格化した。1番人気ローシャムパーク(牡4、田中博)が外から一気に差し切り、重賞初制覇を飾った。

2着に2馬身差の完勝で、勝ち時計は2分1秒4。3歳時にクラシックに乗れなかった同馬は3勝クラスからの連勝。古馬になって成長を遂げ、初の北海道遠征で待望のタイトルをつかんだ。

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まるで海風に乗るような加速だった。4コーナーを大外から回ってくるローシャムパークの推進力。函館の短い直線に入ると、1頭だけまったく違うスピードで外から1完歩ずつゴールに向かっていく。残り100メートルを切ってから勝利を確信したルメール騎手はムチを止め、追う動作だけでゴールに導いた。ゴールした瞬間は左手でこぶしを作り、その手で相棒の首筋をなでた。「3、4コーナーから彼がいい脚を使ってくれた。それで直線は完全に抜けました。すごくいいパフォーマンスです」と手放しで絶賛した。

北の大地に新風が吹いた。3歳時にはセントライト記念3着など、世代屈指の評判馬だったが、タイトルがなかった。活路を求めた初の函館には自信があった。田中博師は「中山で1勝クラスを勝った時が強烈でした。機動力があって。ここはいつか使いたいと思っていた」。必勝のため普段の調教から攻めに出た。函館に滞在させて、芝コースで時計を出した。「これだけ攻めたのは初めて」と語るほど。才能を信じる師の思いに馬が応えた。

順風だ。2度目の挑戦で手にした重賞タイトル。洋芝もこなした。もともと東京や中山で結果を残してきた。師は「G1とか、これからもっと上を目指していきたい馬です。ここは通過点。取れる感覚はありました」。本格化を成し遂げた同馬にはG3だけでは満足できない。次走は未定も、さらなる高みを目指せるのは間違いない。夏の函館から、はっきりと大舞台が見えてきた。【舟元祐二】

◆ローシャムパーク ▽父 ハービンジャー▽母 レネットグルーヴ(キングカメハメハ)▽牡4▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 田中博康(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 9戦5勝▽総収得賞金 1億1019万7000円▽馬名の由来 イギリスの風景式庭園