関東の開業1年目、上原佑紀調教師(33)が秋華賞TRの紫苑S(G2、芝2000メートル、9日=中山、3着まで優先出走権)にフルールを参戦させる。JRA史上初の平成生まれのトレーナーが、転厩してきた同馬で2勝を積み上げてつかんだ初の重賞切符。今後を見据える上でも大きな1歩となる一戦。秋競馬開幕を新進気鋭の厩舎が盛り上げる。

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秋は若き力が日の目を見る時なのか。今年3月に開業した上原佑師が紫苑Sにフルールを送り込む。東西含めて現役調教師最年少タイで、これが厩舎として初の重賞挑戦。本番に向けて上原佑師は「チャンスをもらえてありがたいと思っています。初めての重賞ですので楽しみたいです」と語気を強めた。

転厩馬の素質を信じた。今年の春に迎え入れたフルール。デビューからの3戦はダートを走っていた。「馬っぷりが良くて、良血そうだなと思いました」と第一印象を語る。転厩初戦に福島芝2000メートルを選択し、8番人気ながらいきなり1着。「当初はスピードがなさそうでダートを使っていたみたいです。でも身のこなしが良くて、牡馬みたいに立派で、牝馬らしからぬ馬体。元々ポテンシャルも高かったし、芝でやってみようと」と戦略を明かした。昇級後も11、5着と着実に前進し、前走伊達特別で2勝目を挙げ、重賞出走までこぎ着けた。中山とコース形態の似ている福島での好結果。初舞台でも適性の見込みはある。

馬、陣営ともに大きな経験となる一戦。結果も大事だが、経験を積むことでさらなる原動力につなげられる。開業半年、師は「反省点ばかりですが、スタッフも僕の考えを理解してくれて取り組んでくれています。本当にありがたいです」。フルールについても「同世代の牝馬同士でやれるチャンス。馬にとっていい経験になってほしいです」。新進気鋭の厩舎が秋競馬で旋風を起こすか注目だ。【舟元祐二】

◆上原佑紀(うえはら・ゆうき) 1990年(平2)1月29日生まれ。東京都出身。父はG1・5勝馬ダイワメジャーなどを手がけた上原博之調教師。22年に調教師免許を取得し、今年3月に開業。初勝利は同18日。JRA通算9勝(7日現在)。