人馬ともに血が騒いだ-。2番人気ピコチャンブラック(牡)が重馬場を3角先頭から押し切り、重賞初制覇を果たした。勝ち時計は1分51秒5。
祖父ブラックタイド(04年)、父キタサンブラック(15年)との父子3代制覇を果たした。また、開業3年目の上原佑紀(35)は調教師として平成生まれ初のJRA重賞制覇。ガロアクリーク(20年)で制した父博之師との父子2代制覇となった。
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父が見た景色にたどり着いた。雨で寒々とした中山の急坂を、ピコチャンブラックが根性で駆け上がる。石橋騎手は懸命に左ステッキで鼓舞。泥まみれの他馬を引き連れ、勝負服の白を保った。馬は父子3代、上原佑師は父子2代のスプリングS制覇。自身19度目の重賞挑戦で“春”を迎えた師は「焦りはなかったです。どこかでチャンスはあると思っていました。厩舎初勝利も石橋さんですし、感慨深く一生忘れない勝利です」とかみしめた。
努力が実った。前走ホープフルSは他馬のまくりに我を失い、13着と大敗。一から立て直し、平常心の維持を狙った。管理馬の調教を多く担う石橋騎手を4週連続で調教に乗せ、意思疎通の精度を高めた。この日も3角で他馬がまくってきたが、迷わず前へ出た。鞍上が「やってきたことを出して上手に走ってくれた」と言えば、師も「騎手がうまくカバーしてくれました」とたたえた。
信念が通じた。師のモットーは「馬最優先主義」。調教助手時代に所属した、ダービー2勝の堀師の下での学びが根底にある。「レース選択1つとっても人の都合ではなく、あくまで馬中心。固定概念にとらわれず、常に適材適所を探しています」。戦前は弥生賞も視野にあったが、成長途上の気性面を考慮し、ここを選んだ。「本質的に距離はあっていいので、今日のような精神状態なら」と手応えをつかんだ。
父博之師は04年にダイワメジャーで皐月賞を勝った。当時中学3年の上原佑師も昨年に続き、2年連続でクラシック1冠目に有力馬を送り出す。「必ずクラシックに乗せないといけない馬だと思っていました。リベンジできるチャンスをいただいたので楽しみです」。人馬ともに、飛躍の春が待ち遠しい。【桑原幹久】
◆ピコチャンブラック ▽父 キタサンブラック▽母 トランプクイーン(ネオユニヴァース)▽牡3▽馬主 石部美恵子▽調教師 上原佑紀(美浦)▽生産者 チャンピオンズファーム(北海道新ひだか町)▽戦績 4戦2勝▽総獲得賞金 6889万4000円▽馬名の由来 冠名+敬称+父名の一部

