史上初の父子3代制覇を自らの手で-。JRAのレジェンド武豊騎手(56)が3歳最強馬決定戦、第92回日本ダービー(G1、芝2400メートル、6月1日=東京)で前人未到の7勝目に挑む。今年は初騎乗となる皐月賞5着馬サトノシャイニング(牡、杉山晴)と大一番へ。その祖父ディープインパクト(05年)、父キズナ(13年)から続く3世代Vの偉業を、1人の騎手で成し遂げれば“世界初”の偉業となる。
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恩ある愛馬のブロンズ像をまぶしそうに見上げ、絆を紡ぐ誓いを立てた。今月12日に足を運んだ鳥取県の大山ヒルズ。種牡馬リーディング獲得を祝って制作された彫刻の除幕式で、スーツに身を包んだ武豊騎手は12年前に思いをはせた。
「2010年に大きなけがをして、11、12年は結果を出せず、苦しんでいる時にキズナに乗せていただいて(13年の)ダービーを勝った。騎手人生の中でもすごく大きな馬。『もう1度、頑張ろう』という気持ちにさせてくれた。その産駒でダービーを勝ちたい」
さっそく、その好機を得た。第92回の世代最強馬決定戦。今年の騎乗馬はサトノシャイニングに決まった。キズナ産駒だ。
「自分で勝ったダービー馬の子供。しかも(その父の)ディープインパクトからだから。3代同じ騎手で勝てば、世界でも(前例が)ないと聞いた。そうなればうれしい。なかなかできないこと。他のG1ならまだしも、ダービーなので」
史上初の父子3代制覇へ。“孫”には21日の1週前追い切りで初めてまたがった。栗東Cウッドコースで6ハロン80秒4-11秒2。たくましい筋肉が弾んだ。
「さすがにいい馬。ディープというよりキズナという感じ。楽しみ。最初の印象ではもっとテンションが高いかと思ったけど、思ったほどではなかった。前進気勢が強いので、そのへんがポイントになる」
5着に敗れた皐月賞では、1コーナーで接触して折り合いを欠いた。決して力負けではない。東京2400メートルを乗り切れれば勝機はある。レジェンドにとって腕の見せどころになる。
デビュー39年目で36度目の騎乗。1年前には新たなモチベーションももらった。56歳3カ月で制した横山典騎手に最年長勝利記録を塗り替えられ、むしろうれしそうにも見えた。
「更新されたからね。今年勝っても(56歳2カ月なので)届かない。『よし』という気にはなるよね。何回乗っても、何回勝っても、今年も勝ちたい。7勝目、いきたいね」
ディープインパクトは自身の全盛期を彩り、キズナは低迷期を救った。そして円熟期の今、サトノシャイニングとともに至高の輝きを放つ。【太田尚樹】
◆05年ディープインパクトVTR 1番人気ディープインパクトは後方追走から直線は大外へ。先に最内を抜け出したインティライミを残り150メートルでとらえると、あとは独り旅だった。5馬身差。14万大観衆のユタカコールに応え「感動しました。馬の強さに。過去の馬とは比較したくありません。この馬がすでに名馬なので」。
◆13年キズナVTR 1番人気キズナは道中16番手。直線は最大の長所である切れ味を生かし、最後はエピファネイアを半馬身差、差し切った。10年に負った大けがの後は不振も経験。涙するファンのユタカコールに応え「自分を曲げずに一生懸命やってきた。その答えを今日出せて良かった。僕は帰ってきました!」。

