11月の祝日、入手したE-Bikeを車に積んで、秩父へと向かった。今回はその散策後編。
三峰口駅のベンチに腰掛け、ホット缶コーヒーでひと休み。朝、走り始めたときは手がかじかむほど寒かったが、日が高くなると日差しが強くなり、空気も温かくなってきた。自転車をこぐにはちょうどいい気温。ここからゆっくり秩父へ向かって走って、途中にある「道の駅あらかわ」辺りで昼ごはんを食べることにしよう。
バッテリーの残量はまだ9割近く残っているので、強いアシストが得られる『HIGHモード』で進んで行く。アシストなしの自転車と体力消耗の差がどれくらい違うのかわからないが、坂道や遠まわり、寄り道… どんな状況でもペダルをこぐのがおっくうにならないのはうれしい。
裏道に入ると車の通行がほとんどなかった。車を気にせず、景色を眺めながらマイペースで走れる。鼻歌が風に乗ってフワフワと山へ飛んで行く。
道の駅あらかわに到着。売店や自然館などいくつかの建物が並んでいて、そのひとつが食事処になっていた。外に写真付きのメニューがたくさん並んでいる。秩父うどん、鹿肉うどん、行者にんにくうどんなど、いろんな種類がある。ただ、運悪いことに、昼12時ジャストのタイミング。店内はかなり混んでいて順番待ちの列が外まで続いている。
胃袋的にはまだ走れそうなので、さらに進むことにする。調子に乗ってこいでいたらあっという間に秩父の中心地まで来てしまった。秩父は「わらじかつ丼」「豚みそ丼」「ホルモン焼き」「ずりあげうどん」「おっきりこみうどん」「ぼたん鍋」などなど、まさに地方グルメの宝庫。メニューがたくさんあると、あれも食べたいこれも食べたいで決められなくなる。そこが僕の悪いところ。
スマホから視線を上げると、少し先に「秩父新世界」なる店があった。「豚味噌丼お食事処」と書かれているので、入ってみることにした。テーブルに着いたところで、この店が1915年創業の老舗精肉店「秩父豚肉味噌漬本舗せかい」が直営する食事処であることがわかった。これはもしかして、幸運かも。基本メニューはせかい豚味噌丼のみ。サイズは小、並、大盛の3種類。僕は肉が二枚のる「並」を注文した。
しばらくすると運ばれてきた。どんぶりから肉がはみ出ている。食べてみると豚肉と味噌の相性は完璧、適度に歯ごたえのある肉厚もいい感じ。ペダルをこいでハラペコだった胃袋が大喜びする。偶然見つけたお店だが、大正解だった。
E-Bikeに乗り始めてはじめて最近が付いたことがある。それはこのお店も含めて、店先にサイクルスタンドがあると、店に入りやすくなるということ。自転車スタンドはウエルカムサイクリストさんの証、それだけで店へ対する信頼感や安心感、親近感がググッと上がるのだ。少しずつ自分の視点が自転車乗りになっていることを実感する(笑)。
再び秩父市内をウロウロと散策。コロナ禍ながら連休なので観光客も目立つ、見たところ若い人の割合が多いように感じた。秩父と言えば「秩父三十四札所巡り」が有名で、由緒あるお寺が点在している。こまめに動けるのがE-Bikeの利点、いくつかめぐってみることにする。
数年前に来たときに印象的だった第20番の岩之上堂へ向かう。逆Y字型の塔が特徴的な斜張橋「秩父橋」を渡り、少し坂を上ると岩之上堂の案内板が現れる。矢印に沿ってわき道に入って行くと、突き当たりに駐車場があった。E-Bikeを止めて、階段を下りて行くと岩之上堂があった。名前の通り荒川河岸の崖の上にあるお寺で、周辺は豊かな緑に囲まれている。僕との相性が良いのか、この寺にいると自然と穏やかな気持ちになる。
秩父札所の中ではもっとも古い建物といわれる観音堂の中に入ると、花笠やおさると呼ばれる色彩豊かな「千匹猿」がつるされている。その下でゆっくり手を合わせた。
その後、第21番観音寺と第22番童子堂をめぐり、再び秩父市内へ。小腹がすいたので秩父のソウルフード「みそポテト」でも食べたいな。午前中に番場通りで見つけておいた「じじんばあ」へ行き、揚げたてを購入。ベンチへ移動して、パクリ♪ 揚げたてホクホクのポテトに甘いみそダレが絡まり、いい感じ。最高のおやつだ。
気がつくと日が随分と西へ傾き、頬に当たる空気も冷たくなってきた。そろそろ秩父を離れる時が来たようだ。【藤原かんいち】













