30日間で3700キロをE-Bikeで走り切り、佐多岬~宗谷岬の日本縦断を果たした、旅行家藤原かんいち。前例のないE-Bikeによるチャレンジ。運動不足の61歳の中年男にできるのか!? 一体どんな旅だったのか!? 激動の30日間を旅日記で振り返ります。今回は第2日。


2日目も快調!写真は宮崎県の『えびのループ橋』
2日目も快調!写真は宮崎県の『えびのループ橋』

 Day02 2022/05/17

スタート初日の宿泊がネットカフェ。「ネットカフェで眠れますか?」とよく聞かれるのだが、僕の場合は普通に熟睡できている。ただ、快適か?と聞かれたら答えに困る。狭いし、ベッドもないんだからね。それでも値段は安く予約も不要、すぐに横になれて、バッテリーの充電ができて、シャワーも浴びられる、ネットカフェの使用価値は高い。

朝5時に起床。6時には準備を整え、清算。外に出ると曇り空だが、雨の心配はなさそうなので、ひとまず安心する。今日の目標地は熊本県八代市。いいペースで走れればさらに先へ進めるが、それも状況次第。

まずは最短ルート、マイナーな道を繋いでえびの市へ向かう。道は途中から鉄道の肥薩線と平行、点在する木造の小さな駅舎で写真を撮ったりしながら進んで行く。

湧水町から国道268号をしばらく走ると、道の横に大きな碑。停まって見ると北緯32°と書かれている。佐多岬が北緯31°なので、1°北上したことになる。早いのか遅いのかよくわからないが、北緯45°の宗谷岬がはるか彼方にあることだけは確かだ。

天気は徐々に回復、青空も見え、気温も上昇。暑くなってきた。国道沿いの喫茶店に入り、好物のカツカレーで腹ごしらえをする。国道221号は一気に標高を上げ『えびのループ橋』へ入って行く。眼下にはえびの市の町と田園風景、向こうには高くそびえる霧島連山が見える。雄大な景色を横に見ながら、電動アシストを使ってリズムよく坂を登って行く。加久藤トンネルを抜けると、いよいよ熊本県だ。

人吉市内を走っていると赤い鳥居が目に飛び込んできた。その先には珍しく茅葺屋根の楼門。せっかくなので立ち寄ってみる。調べるとここは1200年の歴史を持つ青井阿蘇神社で、熊本県で唯一の国宝の神社であることがわかった。さらに後で、強力なパワースポットであることが判明。偶然立ち寄ったつもりだが、実は見えないパワーに導かれたのかも… そんな気がした。

球磨川に沿って延びる国道219号へ入って行くと交通量が激減した。道に沿って肥薩線が延びているのだが現在は運休中。線路がおかしな方向に曲がっていたり、なくなっていたり、令和2年の豪雨災害、球磨川の氾濫の傷痕が生々しく残っていた。

「こんにちは!!」「久しぶりーーっ!」球磨村で写真を撮っていると、長崎の高西くんが車に乗って現れた。高西くんは4年前にオートバイで日本一周、その途中の取材を通じて知り合い、仲良くなった友人(かなり年下だけど笑)。

今回はSNSで僕が日本縦断中で、九州を走っていることを知り、なんと150キロ以上も離れた長崎から、応援に駆けつけてくれた。自転車旅行は体力を使うからということで、筋肉に必要なプロテイン、さらに長崎名物カステラの差し入れまで。何と優しい男なのか。感謝の言葉もない。

高西くんを見送り、再び走り出す。友人の応援はいいエネルギーになったのかペダルが軽い。道に沿って流れる球磨川はとても静かで、この川が氾濫を起こしたことが信じられなかった。行き交う車がほとんどなく、見えるのは自然の風景だけ、まるで時間が止まったようだ。

かなりハイペースで走ったつもりだが、目的地の八代は想像以上に遠く、市内に入った時はすでに日が暮れていた。今日も結局、140キロ越え。8時過ぎに、相棒の平塚くんが宿を予約してくれたホテルに到着した。着いてみると広い敷地にトレーラーハウスがたくさん並ぶ、新しいタイプのホテルだった。ドアを開けると部屋は広く、近代的。専用シャワー・トイレはもちろん、大型モニターに冷蔵庫、電子レンジまで備え付けられている。広いベッド、もちろん寝心地も最高だった。

■日付:2022年5月15日

■走行距離:143.8km

■ここまでの総走行距離:286.6km

■ルートマップ


大隅横川駅。雰囲気のある駅舎を見つけると自然とペダルが止まる
大隅横川駅。雰囲気のある駅舎を見つけると自然とペダルが止まる

はじめて見たラムネ温泉の看板。どんな温泉なんだろう?
はじめて見たラムネ温泉の看板。どんな温泉なんだろう?

人吉にある国宝『青井阿蘇神社』の楼門
人吉にある国宝『青井阿蘇神社』の楼門

球磨川の氾濫で被害を受けた肥薩線の一部はまだ不通状態のままだ
球磨川の氾濫で被害を受けた肥薩線の一部はまだ不通状態のままだ

長崎から車で応援に駆けつけてくれた高西くん。差し入れまでいただき、感謝感激
長崎から車で応援に駆けつけてくれた高西くん。差し入れまでいただき、感謝感激

球磨川は2年前の氾濫がウソのように穏やかだった
球磨川は2年前の氾濫がウソのように穏やかだった

八代市で宿泊した『HOTEL R9 The Yard八代』は快適だった
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