30日間で3700キロをE-Bike(YAMAHA WABASH-RT)で走り切り、佐多岬~宗谷岬の日本縦断を果たした、旅行家藤原かんいち。前例のないE-Bikeによるチャレンジ。運動不足の61歳の中年男にできるのか!? 一体どんな旅だったのか!? 激動の30日間を旅日記で振り返ります。


日本縦断をしていた6月は花の季節。美しい花々を眺めていると豊かな気持ちになる
日本縦断をしていた6月は花の季節。美しい花々を眺めていると豊かな気持ちになる

 Day20 2022/06/04

当初計画では、ステージ11『志賀草津道路・渋峠』からステージ12『大弛峠』(長野県・山梨県)へ向かうルートになっていた。しかし、剣山スーパー林道の経験から、20kg以上の荷物を積んだE-Bikeでの悪路ダート走行は転倒等の可能性が高いことが分かった。そこで長いダートのある『大弛峠』を回避、『金精峠&いろは坂』を走るルートへ変更することにした。

ちなみに『金精峠』は国道120号、群馬県と栃木県の県境にある峠で、国道としては3番目の高さ(金精トンネル・標高1843m)を誇る。金精峠を下ると奥日光、戦場ヶ原、中禅寺湖など多くの観光スポットがあり、その先には日本の道100選に選ばれている山岳観光道路『いろは坂』がある。ダイナミックな自然の変化、素晴らしい走りが楽しめることからステージ12に決めた。

ルート変更により2日連続で峠越えにチャレンジすることになった。気合を入れて、宿泊地の沼田から金精峠へと向かった。昨日に続いて今日も友人ヨッシーが原付スクーターで同行することになったが、走る速度が違うので、付かず離れずの距離感を保ちながら進んでゆく。お互い旅慣れしているので、特に打ち合わせなどをしなくても、自然といい形になってゆく。今日は朝からドピカーンの晴天、この感じなら、にわか雨などもなさそうだ。

9時半ごろ『道の駅尾瀬かたしな』に到着した。トイレタイムの後、木陰のベンチへ移動。休憩時間を使ってヨッシーが携帯している手挽きのコーヒーミルを使ってコーヒーを入れてくれた。木陰の下でおしゃべりをしながら飲む、挽きたてのコーヒーはとてもおいしい。ここまでずっと急ぎ足で、こん制覇な風にのんびりコーヒーを飲む時間もほとんどなかった。おかげで気持ちがリフレッシュ。ヨッシーありがとう。


沼田の健康ランドではヨッシーと楽しい時間を過ごした
沼田の健康ランドではヨッシーと楽しい時間を過ごした
手挽きのコーヒーミルで入れてくれたホットコーヒーで休憩タイム
手挽きのコーヒーミルで入れてくれたホットコーヒーで休憩タイム

金精峠に向かって、道は徐々に上り坂が多くなってくるが電動アシストのあるE-Bikeなので、構えることなくリズムカルに進んで行ける。もしこれが普通の自転車だったら、ペダルをこぐことに必死で周りが見なくなるが、E-Bikeなら周りの景色の変化を楽しみながらペダルをこぐことができる。体に負担をかけすぎない、自分に合ったペースで進んでゆく。

丸沼高原スキー場入口を過ぎたところでバッテリー残量が0になった。走行距離49.2km。ここまでほとんど上り坂、電力の消耗も早い。新しいバッテリーに交換して再び走り出す。木々の間から青い丸沼が見えてくる。さらに坂を上ってゆくと今度は菅沼が見えてくる。緑の山々に囲まれた美しい沼だ。すぐ近くに見えるが直接湖畔へ降りられる場所はなく、眺めることしかできない。

さらに進むと右手に雰囲気のある茶屋が現れた。うどん、そば、ソフトクリームなどの『のぼり旗』につられペダルを止めた。どれも食欲をそそるが、ここは茶屋らしく五平餅にする。もちもち食感、甘い味噌だれもいい感じ。朝から何も食べていなかったので、いいおやつになった。

ついに金精トンネルが見えてきた。ということは、ここが峠。やったぜ。トンネルと抜けると先行していた平塚カメラマンとヨッシーが出迎えてくれた。記念写真を撮ると、待望のダウンヒルが待っている。絶景の中を風のように走り抜ける。遠くに湯ノ湖。抜けるような青空、流れる白い雲、緑の山々… 大自然の景色が広がる。


今日のおやつは茶屋の五平餅。青空と一緒に「いただきます♪」
今日のおやつは茶屋の五平餅。青空と一緒に「いただきます♪」
金精トンネルの前で。国道では標高が3番目に高い金精峠をクリアした
金精トンネルの前で。国道では標高が3番目に高い金精峠をクリアした
金精峠越えの後には絶景と長いダウンヒルが待っていた
金精峠越えの後には絶景と長いダウンヒルが待っていた

20分ほどで奥日光の湯ノ湖に着いた。小さな湖は休日らしく多くの釣り人でにぎわっていた。ヨッシーはそろそろ自分の旅に戻る、ということでここでお別れとなる。2日間、楽しかった。また会おう! と手を振って別れた。森を抜けると広々とした高原の湿地帯に出た。中禅寺湖をめぐって神が争ったといわれる『戦場ヶ原』を走り抜けると、中禅寺湖が見えてくる。金精峠からほぼ下り坂なので、自然とハイペースになる。

九十九折れの急カーブが連続する『いろは坂』。下りなので脚は疲れないが、カーブの度にブレーキレバーを強く握るため、想像以上に指を酷使することになった。いろは坂を走り終え、最初のコンビニを見つけると、コーヒーを飲みながら疲れた指を休めた。

日光から杉の巨木が立ち並ぶ「日光杉並木街道」を抜けて今市へ。国道461号にスイッチすると、ひたすら国道4号を目指した。予約していた那須塩原市のホテル「トレイルイン那須高原」に着いたときはすでに8時を回っていた。今日の走行距離は140km。ずいぶん長い時間走っていた気がしたが、それほど距離は伸びていなかった。それでも2日連続の峠越えを乗り切ったので、気持ちは充実していた。


人が少なく静かな奥日光の湯ノ湖はお気に入りのスポット
人が少なく静かな奥日光の湯ノ湖はお気に入りのスポット
荷物満載のE-Bikeでタイトなカーブが連続する『いろは坂』の下りはきつかった
荷物満載のE-Bikeでタイトなカーブが連続する『いろは坂』の下りはきつかった
美しい木造建築の日光駅。大正時代の雰囲気が漂う
美しい木造建築の日光駅。大正時代の雰囲気が漂う
友人の直がオートバイで差し入れを持って応援に駆けつけてくれた
友人の直がオートバイで差し入れを持って応援に駆けつけてくれた

■日付:2022年06月04日

■走行距離:140.9km 

■ここまでの総走行距離:2,419km

■ルート