日本ハムの大谷翔平選手が、ロサンゼルス・エンゼルス入りを果たしたニュースは日米で大きく報じられていますが、地元ロサンゼルス（ＬＡ）の野球ファンたちも二刀流の入団に期待を膨らませています。今年は大リーグでの活躍を応援すべく観戦ツアーを計画している日本のファンも多いことと思いますが、本拠地のあるアナハイムってどんな所か知りたいですよね！　ほとんどの人がまっさきに思い浮かべるのがディズニーランドだと思いますが、実際にアナハイムとはどんな街なのでしょう。

ロサンゼルス・エンゼルスの本拠地エンゼルス・スタジアム・オブ・アナハイムは、ディズニーランドからも近い場所にあります

　アナハイムはＬＡダウンタウンから南東約４５キロに位置するオレンジ郡第２の都市です。ロサンゼルスの一部だと思っている人も多いと思いますが、アナハイムは正式にはロサンゼルスではなく、オレンジ郡にある都市なのです。オレンジ郡を訪れる観光客のおよそ半数がアナハイムを訪れ、その多くがディズニーランド観光を目的にしているといわれており、国外での「アナハイム」の知名度はとても低いといわれています。エンゼルスも、１９９７年から２００４年までは「アナハイム・エンゼルス」がチーム名でしたが、アナハイムの知名度の低さから０５年にはロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムに名称を変え、１６年には再び球団設立当時の名称「ロサンゼルス・エンゼルス」に戻しています。さて、そんなアナハイムにはエンゼルス以外にもナショナル・ホッケー・リーグ（ＮＨＬ）のアナハイム・ダックスの本拠地ホンダ・センターや「スター・ウォーズ・セレブレーション」などエンターテインメント系のイベントも多数行っているコンベンション・センターなどもあります。

　オレンジ郡はその名から想像できるように、昔は辺り一帯がオレンジやレモンなど果樹園の畑だったことで知られており、アナハイムには果樹園で採れた果物を市場に出荷する前にパッキングする工場がありました。近年はその古い工場跡地を再開発して観光地化する計画が進められており、２０１４年に「パッキング・ハウス」がオープン。過去にこのコラムでも紹介しましたが、１９１９年に建てられた歴史的建造物をおしゃれなフードコートにしたもので、「カリフォルニア初」「ここでしか食べられない」にこだわった店舗セレクションとおしゃれなインテリア、イートインスペースに昔使われていたトラクターが鎮座するなど古き良きアナハイムの歴史を感じさせる内装で人気を博しています。週末には新鮮な野菜や加工品を販売するファーマーズマーケットも開かれるなどイベントも行われており、食以外の楽しみもあります。また、すぐ近くには禁酒法時代の閉店から９０年後に再オープンした歴史を誇るビール醸造所アナハイム・ブルワリーもあり、ディズニーランドから車で５分程度とアクセスも良いので、観光の際にはぜひ立ち寄ってみて下さい。

　ディズニーランドに行く時間はないけど雰囲気だけでも楽しみたいという人には、隣接するショッピングエンターテインメントセンター「ダウンタウン・ディズニー」がおすすめ。ショッピング、ダイニング、エンターテインメントの３拍子が揃ったエリアで、夜遅くまで営業しているのでパークで遊んだ後でも訪れることができます。買い物を楽しみたいという人には、ディズニーランドから徒歩で行けるショッピングモール「アナハイム・ガーデン・ウォーク」がおすすめ。比較的観光客が少ないので、のんびり買い物をしたり、ゆっくりと食事ができます。また、時間があれば、アナハイムから足を延ばして海岸に向けて車を走らせれば高級リゾート地ニューポートビーチへ行けますし、南西に３０分ほど車で走ると３００店舗以上が軒を連ねる西海岸最大のショッピングモール「サウスコーストプラザ」、西に４０分ほどで現在はホテルやレストランとして利用されている豪華客船クイーンメリー号があるロングビーチへも行けます。

アナハイムはディズニーの街ということで、ミッキーが球場でお出迎えしてくれます

　アナハイムからＬＡまでは車で１時間ほどかかるためレンタカーがなければ日帰りでの移動は少々難がありますが、バスとメトロを上手に利用すれば２時間くらいで移動することも可能です。エンゼルス観戦と一緒にハリウッドやサンタモニカなどＬＡ観光もしたい方は、アナハイムとＬＡの２カ所に分けて宿泊するのがベストです。また、コンベンション・センターで大きなイベントがある時は、市内のホテルは満室になることも多いので、旅行日程が決まったら早めにホテルの手配をすることをおすすめします。

　今年は大谷選手の活躍でアナハイムが日本人観光客で盛り上がる年になりそうです！

（米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」）