新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された2020年も残りあとわずかとなりましたが、コロナ禍で迎えるクリスマスを前にアメリカの医療現場は厳戒態勢となっています。パンデミックが始まった当初の3月に爆発的な感染でホットスポットとなったのはニューヨークでしたが、今はロサンゼルスが感染拡大の震源地となっています。人口1000万人を超えるロサンゼルス(LA)郡では先週、80人に1人が感染していると発表され、LAと南部サンディエゴを含む南カリフォルニア全域で集中治療室(ICU)の空病床が0%となるなど医療現場のひっ迫が伝えられています。11月初めと今月中旬を比較するとLA郡のコロナ入院患者の増加率は385%で、23日には1日の死者数が過去最多となる145人を記録しました。その原因は11月下旬の感謝祭での集まりや移動にあると専門家が指摘する中、収束の兆しが見えないままクリスマスと年末年始を迎えることとなってしまいました。
救急搬送先の病院が見つからず、病院到着後も救急車内で5~7時間待機を強いられる患者もいると伝えられるなどすでに医療崩壊も起き始めています。多くの病院で病室に入れない患者が廊下に溢れ、病院の外にも中に入ることができない患者を乗せたストレッチャーが並び、駐車場にテントを設置して屋外病棟を用意する病院もあるなど戦地と化しています。カリフォルニア州のニューサム知事は、15日の会見で遺体安置所がどこもいっぱいなため、60台の冷凍トラックと遺体袋5000人分を追加注文したことを発表していますが、今はコロナでなくとも交通事故や普通の病気にかかっても普段なら助かる命も助けられないと医療関係者が警告を鳴らすような状況に陥っています。実際に筆者の周囲でも、体調不良でコロナの検査を6度受けたが全て陰性で、病院で診察をして欲しいとあちこちかけあってもどこからも受け入れを拒否され、そんな状況が1カ月近く続いているという人もいます。また、ある病院では、手術を受けた患者が術後使う人工呼吸器もICUのベッドもないことから呼吸器をつけずに一般病棟で寝かされているという話も聞きます。
そんな中、全米最大規模の病院兼保険機関であるカイザーパーマネンテのLA郊外の病院が、廊下や外に溢れかえる患者の映像を公開し、パンデミックを終わらせるために「空気を他人とシェアしないで。ステイホームして」と呼びかける動画をSNSに投稿して衝撃を与えています。カリフォルニア州ではLAを含む大部分の地域で12月初旬から27日まで不要不急の外出や旅行、同一世帯以外の人と集まることが禁じられ、バーや理美容院、映画館や美術館など室内娯楽施設の営業が禁止となり、レストランもテイクアウトとデリバリーのみ営業となっています。必要不可欠な食料品や医薬品以外の小売店は、最大収容人数の20%での営業となるなどロックダウンに近い措置が取られていますが、クリスマスと新年を前に人の移動が再び増えていることがメディアで伝えられています。厳しい自粛要請に反発も起きており、クラブで密にパーティーを開催していた集団が摘発されたり、俳優カーク・キャメロンがショッピングモールの駐車場でマスクを着用せずみんなでクリスマスキャロルを歌おうとSNSで呼びかけて100人以上がソーシャルディスタンスを無視して集うなど医療現場のひっ迫を横目に感染防止策を守らない人も多く見られます。
医療専門家たちは「これはジョークではない。命を救うために家に留まって」「必要に迫られない限り家から出ないで」「感染者がどこにいてもおかしくない状況だから人混みを避けて」と呼びかけていますが、このほど発表された調査でLAの住民の30%が感染予防措置を守らずに友人や同居していない家族や親族と面会したり、家を訪問したりしていることが明らかになっています。クリスマスを前にアウトレットやショッピングモールは最後のクリスマスプレゼントの買い出しをする人で大混雑しており、ロサンゼルス空港もLAを脱出する人やLAを訪れる人で賑わう様子が報じられています。一方で今年はホリデーを祝わないと宣言する人や今年は何の予定もなくて寂しいという人もおり、ホリデーシーズン終了後に起こると想定されるさらなる医療崩壊が心配される中でそれぞれが様々な思いを抱えながらクリスマスを迎えます。
(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)








