新型コロナウイルスの感染拡大を受けてトランプ前大統領が国家非常事態宣言をしてから、13日で1年を迎えました。当時は突如出された非常事態宣言に多くの人がパニックとなり、スーパーマーケットから物が消えるなどの大混乱も起きましたが、1年が経った今はワクチン接種が加速しており、コロナ収束への期待感が漂っています。バイデン大統領は先日行ったテレビ演説で、5月1日までに全米の18歳以上の成人全員がワクチンの接種を受けられるようにすると語り、「7月4日の独立記念日には家族や友人で集まってBBQを楽しみながら祝うことができるようになる」との見通しを示しました。

ワクチンの啓発キャンペーン広告でワクチン接種するオバマ元大統領とミシェル夫人
ワクチンの啓発キャンペーン広告でワクチン接種するオバマ元大統領とミシェル夫人

日本でも4月から高齢者へのワクチン接種が始まりますが、アメリカではすでに人口のおよそ10%がワクチン接種を終えており、筆者の周辺でも2回の接種が完了したと話す知人が多くいます。ワクチン接種が始まった当初は、懐疑的な意見や様子見しようといった声も多く聞かれましたが、最近では「1日も早く元の日常に戻りたい」と接種を希望する人が増えているように感じます。一方、いぜん安全性や効果に疑問を持つ人も少なくはなく、ワクチン不信を払しょくするための公共の啓発キャンペーンも行われており、カーター氏、クリントン氏、ブッシュ氏、そしてオバマ氏の4人の存命元大統領が揃ってワクチン接種を呼びかけるテレビCMに登場。1分間のロングバージョンでは、オバマ氏が「義理母の誕生日に会ってハグしたい」と話し、ブッシュ氏も「(地元)テキサス・レンジャーズの開幕戦をスタジアムで見たい」と語り、ワクチンはそんな日常を取り戻す希望になるとのメッセージを伝えています。そして、4人の元大統領と元ファーストレディーが、それぞれカメラの前で接種を受ける映像も公開しています。

そんな中、米疾病対策センター(CDC)が先日、ワクチンの接種を終えた人の行動に関する指針を初めて公表しました。ワクチンを接種した後は、コロナ禍前の日常に戻ることができるのか、マスク着用やソーシャルディスタンスは不要となるのか、など多くの疑問があると思いますが、接種後の生活がどう変わるのかCDCのガイドラインをまとめてみました。コロナは新しい感染症なので、情報は刻々と変化しています。将来的にガイドラインも更新される可能性もありますが、現時点でCDCのガイドラインがどうなっているのか参考にしてみてはどうでしょう。

クリントン元大統領とヒラリー夫人もワクチン啓発キャンペーンに登場
クリントン元大統領とヒラリー夫人もワクチン啓発キャンペーンに登場

Q ワクチンを接種すればコロナにかからない?

残念ながら答えはノーです。ワクチンの有効性は100%ではないので、接種後も感染する可能性はあります。ただし、感染した場合でも重症化するリスクを減らすことは期待できます。また、ワクチン接種を完了してから有効な抗体を得られるまでに2週間ほどかかるため、その間は特にこれまで通りの感染予防対策が必要となります。

Q ワクチン接種後もマスク着用やソーシャルディスタンスは必要?

接種後も感染するリスクはゼロでなく、無症状で感染して他人にうつす可能性も考えられることから、ウイルスを拡散しないためにも公共の場所ではマスクの着用やソーシャルディスタンスを保つことは必要です。アメリカ政府の感染対策トップのファウチ博士は、集団免疫を獲得するには人口の7割以上が接種する必要があるとの見解を示しており、当面のところマスク着用は必須だと考えられています。ただし、CDCではワクチン接種後2週間以上が経過した人どうしであれば、屋内でもマスクやソーシャルディスタンスなしで集まることが可能だとしています。

Q ワクチン接種が終わっていない人との面会は?

ワクチン接種を済ませていない複数の世帯が集まる場所に出かけるときや重症化リスクの高い人と接する場合は、これまでと同様にマスク着用とソーシャルディスタンスの確保が必要だとしています。一方で、感染リスクが低い単一の世帯の人とであればマスクを着用せずに面会しても構わないとしています。つまりは、ワクチン接種を終えた高齢者が重症化リスクの低い子供や孫と会うことは可能になると考えられていますが、子供はワクチンを受けることができないのでハグなど直接触れあうことにはいぜん注意が必要です。

96歳のカーター元大統領夫妻もワクチンを接種する様子を公開
96歳のカーター元大統領夫妻もワクチンを接種する様子を公開

Q ワクチン接種後はすぐにコロナ禍以前の生活に戻れる?

現時点でワクチンの効果は100%ではないことや、集団免疫を獲得していない状況下においては、引き続き公共の場でのマスク着用やソーシャルディスタンスは必須です。また、ワクチンを接種しても感染する可能性が完全になくなるわけではないため、これまで通りこまめな手洗いなど感染予防を続けることも重要です。さらに、CDCではワクチン接種後も大規模イベントなど不特定多数の人が大勢集まる場所や中規模の集会への参加も見合わせるべきだと指摘。また、感染リスクが高いため不要不急の飛行機への搭乗や旅行などもいぜん避けるべきとの考えを示しており、コロナ禍以前の生活にすぐに戻ることは現時点では難しそうです。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真は公共広告のテレビ放送より)