アメリカでは新型コロナウイルスの新たな変異種オミクロン株が、ついにデルタ株を逆転し、ニューヨークなど東部やフロリダ州など南部で感染が急拡大しています。ここロサンゼルス(LA)郡でも感染の再拡大が起きており、わずか1週間で新規感染者が倍以上増えて19日には3730人を記録し、今年8月以来の最多となりました。オミクロン株の感染者はまだ少ないものの、20日には60例が確認されたと伝えられており、オミクロン株のまん延も時間の問題となっています。

クリスマスイルミネーションを楽しむイベントには大勢の人が集っていました
クリスマスイルミネーションを楽しむイベントには大勢の人が集っていました
広大な敷地を持つ教会で行われた無料のクリスマスイベントには遠方から訪れる人も
広大な敷地を持つ教会で行われた無料のクリスマスイベントには遠方から訪れる人も

夏以降は感染者数が減少していたLAでは、今年は2年ぶりにクリスマスのイベントが復活。11月末にハリウッドで行われる毎年恒例のクリスマスパレードをはじめ、ディズニーランドやナッツベリーファームなどテーマパークのクリスマスイベント、クリスマスのデコレーションやイルミネーションを楽しむイベントなどが各地で開催され、どこも大勢の人で賑わう様子が伝えられています。昨年のクリスマスは感染爆発の影響でイベントはほとんどが中止となり、一部はドライブスルーなど非接触型で行われていたため、今年はリベンジの年として多くの人がホリデーイベントを楽しみにしていました。ワクチン接種が進んだこともあり、今年は家族や友人らと集まってクリスマスパーティーを催す人も多く、オミクロン株のニュースが出てからも誘いがあったりと、周囲を見ても集まりをやめようという雰囲気はほとんどなく、明らかに人と集うことが禁じられていた1年前とは人々のマインドも違っています。

ラベンダー畑に作られた光のトンネルは撮影スポットで大混雑
ラベンダー畑に作られた光のトンネルは撮影スポットで大混雑

すでに3回目のワクチン接種を終えている人も多いので、安心感があるのかもしれませんが、オミクロン株は3度接種した人の感染も多く報告されており、感染力がより強いことが分かってきています。それでも、経済活動を1度再開した後にステイホームに逆戻りするのは難しく、この半年ほどコロナと共存してきた多くの人たちにとっては待ちに待ったホリデーだけに、オミクロン株なんてどこ吹く風といった雰囲気も感じられます。暗いニュースで2年ぶりのホリデーの予定を台無しにされたくないという気持ちもあるのかもしれません。

ホットチョコレートを買う人で賑わうショップ
ホットチョコレートを買う人で賑わうショップ

この1週間の間に2つの屋外で開催されているクリスマスイベントに参加してみましたが、多くの人がマスクを着用しているもののソーシャルディスタンスや入場制限はなく、マスクなしではしゃぐ子供や、食べ歩きする人もいたりと、感染予防が徹底されていないことに少し驚きました。屋外を歩いてイルミネーションを見学するイベントは、それほど密な感じはなく、人混みを避けて割と自由に歩き回ることができましたが、クリスマスタウンと化した農場を散策するイベントではショップや食事をするスペースは長蛇の列で大混雑。しかも列は前後の人との距離がとても近く、食事スペースも混雑しており、すぐ近くに大声で話す家族連れがいたりと、長らく必要最低限でしか人と接してこなかった身としてはあまりにもコロナ禍前と変わらない日常がそこにあることに馴染むことができず、怖さも感じて早々に屋外に避難しました。

ライトアップされた幻想的なラベンダー畑を散策するクリスマス限定のイベントは週末にはソルドアウトになるほどの人気
ライトアップされた幻想的なラベンダー畑を散策するクリスマス限定のイベントは週末にはソルドアウトになるほどの人気

これからクリスマス、新年と人流が増えることや寒さが増すため屋内で過ごす機会も多いことから今後数週間は厳しい状況になることが予想されています。ニューヨークのタイムズスクエアのカウントダウンイベントの中止も取りざたされていますが、LAではオミクロンへの警戒からダウンタウンのグランドパークで行われるカウントダウンイベントが2年連続で中止されることが決まりました。また、クリスマスを前に感染拡大を受けて舞台やスポーツの試合など一部のイベントが中止され、1月上旬の映画イベントの延期も次々と発表されています。誰もがホリデーを満喫した後の年明けに昨年の感染爆発のデジャブが起こらないことを祈るばかりです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)