日本では国民の主食であるコメ不足と価格急騰が大きな問題となっていますが、ここロサンゼルス(LA)では日本では買えない、異常に高いとされる日本産米が大量に、しかも安値で売られています。日系スーパーマーケットに行くと、新潟や北海道などさまざまな産地の日本からの輸入米が並んでおり、セール価格だと5キロの「こしひかり」が20ドルほど、1ドル155円で換算すると3100円で購入することができるという、不思議な現象が起きています。
為替レートにもよりますが、5キロあたりの価格が場合によって日本で買うよりも安いだけでなく、現地生産されているカリフォルニア産米よりも安価になっており、輸送コストをプラスしてもこの値段というのは、今の日本の現状を考えると驚きでしかありません。
筆者の自宅近くにある日系スーパーマーケット3社で確認したところ、いずれの店舗でもセールで5キロの日本産米を19.99ドルで買うことができます。例えば、JAライスの滋賀県産コシヒカリ5キロは25.99ドルから6ドル引き、また別のスーパーでも富山県産こしひかりが同様の価格で特売となっています。通常価格でも平均25~30ドル程度で5キロの米が買えるので、日本と同じかそれよりも安く買えることになります。
しかも、多くの日系スーパーマーケットでは日本産米が山積みで普通に売られており、現地で人気の高品質なカリフォルニア産米よりも安値という逆転現象まで起きています。LAには複数の日系スーパーマーケットがありますが、日本からの輸入品は輸送コストなどがかかるため日本で買うよりも割高なのが常識で、昨今の物価高において「すべてが高い」と日々の買い物で感じることが当たり前になっています。そんな中、日本産米が安く買えるのは現地在住の日本人としてはありがたいと思う反面、なぜ日本で高騰する米がここアメリカでこんなに安く手に入るのだろうという素朴な疑問も沸いてきます。
ちなみに比較のため、他の日本からの輸入食品の値段を紹介すると、キッコーマンの白だしは10.99ドル(約1703円)、エスビーのたらこスパゲティソース4.79ドル(約742円)、ゴールデンカレーやキューピーマヨネーズ450gは5.99ドル(約928円)、マルちゃん焼きそば3食入り4.49(約696円)などなど。いずれも日本よりもかなり高価であることが分かります。記録的な円安なのに日本からの輸入食品の値段は下がるどころかなぜか高騰し続けていますが、米の価格だけはこの数年ほとんど変わっていません。
海外で米が大量に流通している理由の一つに、日本政府が掲げる農林水産物・食品の輸出拡大に向けた取り組みを強化があると思います。政府は2025年に2兆円、2030年までに5兆円の輸出額を目指しており、販路拡大を進める品目の中には牛肉や水産品と共に米も含まれています。
また、日本食が広く浸透しているLAでは、米の需要が高まっていることも要因の一つとして考えられます。以前は日本人やアジア系が主な顧客だった日系スーパーマーケットも今では多くのアメリカ人が買い物に訪れるようになっており、米系マーケットでも「SUSHI RICE」と表記されたカリフォルニア産米が販売されるなど、米を購入する人が年々増えていると感じます。一方で、米の一大産地であるカリフォルニア州は近年の深刻な干ばつによって生産量が減少し、価格が高騰していることも日本産米の需要や現地の価格に影響を及ぼしているのかもしれません。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)





