難読駅の基本である「簡単な文字なのに読めない駅」。そして「難読駅なのに、なぜか読めてしまう駅」を紹介してみましょう。また簡単に読めば良いのに思い込みから、私も今年初めて読めるようになった駅もあります。全国に広げるとキリがないので近畿2府4県から私の写真フォルダにあるものから紹介します。

(写真1)
(写真1)
(写真2)
(写真2)

全く個人的な意見ですが「想像もつかない読み」の近畿ツートップは、この2駅(写真1、2)。阪急の駅名標はひらがながメインになるので隠すのが大変だ(笑い)。答えは後ほど。

(写真3)
(写真3)

まず小学校で最初に習うレベルの文字を使用した最も惜しい(?)難読駅がこちら(写真3=阪急神戸線など)。「簡単じゃないか」と思われる方が多いかもしれません。阪急3線の乗換駅にして歓楽街。ただそれは阪急を利用していたり、関西にいるから分かるもの。数年前、東京で何人かで話をしていたところ、たまたま十三の話になり、少なくとも若い女性3人は全く読めませんでした。考えてみれば普段から見聞きしていないと読めないですよね。普通しか停車しない駅だったら、文句なしに優勝でしょう。

(写真4)
(写真4)
(写真5)
(写真5)
(写真6)
(写真6)

見聞きという意味では少々漢字は難しくなりますが(写真4=山陽本線)は、ふだんJR神戸線や京都線などを利用していれば行ったことがなくても読めます。網干には車両所があり、始発終着となる電車が多い上、山陽電鉄網干線の終点(JRと山陽の駅は離れている)でもある。車内アナウンスで連呼されるので読めるようになります。滋賀県側で車両所がある野洲(やす)も、かなり難読ですが同様です。(写真5=草津線など)(写真6=加古川線など)も乗換駅で連呼が多い駅です。

(写真7)
(写真7)
(写真8)
(写真8)
(写真9)
(写真9)
(写真10)
(写真10)

耳慣れという意味では(写真7=片町線など)が断トツかもしれません。この読み方は無理なはずですが、関西で生まれ育てば難なく読める。テレビやラジオのCMでヘビロテのように流されているため、極端な話、駅がどこにあるか分からなくても読めるのです。

簡単な文字でふだん人名などで使用しているのに微妙に違う駅を阪神本線から2つ。(写真8=青木)。「あおき」ではありません。「おおぎ」です。1月23日の阪神淡路大震災から25年の記事でも紹介しました。(写真9=大物)は「おおもの」ではなく「だいもつ」。古典にも登場する由緒ある地名だそうです。もうひとつ、どうしても入れたかったのですが明治期に建設された駅舎に見とれて駅名標を撮っていなかったのが(写真10=播但線)。見にくくて申し訳ありませんが「新井」と書いて「にい」と読みます。

(写真11)
(写真11)

お恥ずかしいですが私が今年になって初めて読めるようになったのが(写真11=大阪メトロ鶴見緑地線)。初めて目にする人は「何かおかしいの?」となるでしょうが、人形の町として有名な松屋町は「まっちゃまち」と呼ばれ、私も生まれてこの方、そう読む人以外に会ったことがなく「まっちゃまち」が愛称だと知ったのは今年のこと。以前に駅名標の写真まで撮影して気づかなかったほど激しい思い込みでした。

(写真12)
(写真12)

長らく私が勘違いしていた駅はもうひとつあります(写真12=京阪交野線)。小学生低学年レベルの漢字という意味では最上位のひとつ。読めないのは当然ですが、「市」が付くのだから都市名だろうと思っていたところ「交野(かたの)市の私市」。難読+難読ですが、終点駅でもあり、京阪沿線の方にとってはハイキングコースとしてなじみのある場所だそうです。

(写真13)
(写真13)
(写真14)
(写真14)

さて、ようやく冒頭に戻ります。正解は(写真13=阪急千里線)と(写真14=紀勢本線)。問題になるぐらいだから素直に読むはずない、と予想はつくかもしれませんが「柴」を「くに」と読むのは思いつかない。難読駅クイズの王道駅。

「あっそ」と教えられると「あっそ」と答えるしかないかもしれません。ちなみに兵庫県に朝来(あさご)市がありますが、市と同名の駅はありません。両者とも由緒ある地名です。【高木茂久】