先日、高岡そして富山へと旅をしました。大阪から特急サンダーバードで金沢で北陸新幹線に乗り換え、新高岡から城端線経由で高岡に至ったのですが、その際あらためて気づかされたことがあります。

大阪から高岡への乗車券と特急券
大阪から高岡への乗車券と特急券

使用したきっぷはこちら(写真)。みどりの券売機で購入し、説明した通りの経路で、ご覧の通り乗車券5500円+在来線特急券1470円+新幹線特急券880円の計7850円です。ちなみに2時間半以上乗車するサンダーバードは指定席、新幹線は1駅15分ほどで到着してしまうので自由席です。

では高岡まで行くのではなく金沢までの旅だったら、どうでしょう。サンダーバードだけで終わりですが7790円。なんと60円しか違いません。金沢と高岡は約40キロ。大阪と京都ぐらい離れています。新幹線にも乗っていません。にもかかわらず60円安いだけです。

金沢経由で高岡へはもうひとつの行き方があります。北陸本線が第3セクターとなった「IRいしかわ鉄道」「あいの風とやま鉄道」の利用です。私の旅程にはひとつ問題があって、新幹線には高岡という駅はなく、高岡へは新高岡から城端線で1駅という乗り換えが必要な上、城端線の本数は3セクより少なく、接続が悪いと不便さが増してしまうのです。そもそも新高岡にはすべての新幹線が停車するわけではありません(※1)。

そんな事情から総合的な利便性は3セクに軍配が上がるかもしれません。ではその経路で向かうとなると大阪からの料金は8630円。新幹線利用より780円も高い。特急のように別料金が必要な列車は走っていないにもかかわらず、新幹線よりお高くなってしまいます。

なぜこのようなことになってしまうのか。「乗継割引」「特定特急料金」「第3セクター」。条件がそろってしまったからです。順番に説明しましょう。

「乗継割引」とは新幹線と在来線特急(またはその逆)を乗り継ぐ際、特急料金が半額になる制度で金沢は適用駅となっています(※2)。次に「特定特急料金」とは新幹線で隣の駅までの自由席利用に限り、料金が安くなる制度で870円または990円です。制度ができてから設置された新駅もあるので正確には「隣だった」(※3)となります。料金の高い新幹線では救世主のような存在で、在来線なら80分もかかるのに対し、新幹線なら20分弱という博多~小倉での利用が多いことで有名です。

この2つの制度が反映されたのが今回。大阪~金沢の特急料金は2950円ですが、乗継割引の半額で1470円。これに特定特急料金の880円を加えると新高岡までが2350円と、金沢までの特急料金より安くなってしまいます。在来線特急の乗車が長いほど特急料金の割引額が大きくなるので、こうした「逆転現象」が起きがちです。

乗車料金だけの3セク利用時より新幹線利用がはるかに安価だったことにも触れておきましょう。新幹線~城端線はすべてJR。これに対し3セクを利用すると別会社に乗り換えることになり、1からの料金。金沢までの運賃は4840円、高岡までは5500円で、その差は660円。3セクの金沢~高岡は840円なので180円お高くなります。3セク利用時はサンダーバードのみの乗車なので乗継割引はなく、新幹線に乗らないのに割高になるという事象が起きました。

いろいろ書いてきましたが、これらはすべて正規料金でのお話。JR西日本の「e5489」を利用すれば大阪~金沢はグンと安い。複数利用だと、さらにお得な周遊券もあったりしてバリエーションも増えます。旅の予定を立てる際、ほんの少しでも「お得」に気づけば旅の喜びが増します。ぜひ頭をひねってみてください。【高木茂久】

※1 新高岡~高岡間はバスが頻発している

※2 乗継割引が適用される新幹線の駅は東海道・山陽新幹線の新横浜~新下関、北海道新幹線の新函館北斗、東北新幹線の新青森、上越新幹線の越後湯沢、長岡、新潟、北陸新幹線の長野、金沢

※3 例えば名古屋~豊橋の間に後から三河安城が新設されたため、名古屋から豊橋までは2駅でも特定特急料金対象区間となる