富山地方鉄道は軌道線も合わせると100キロ以上の営業路線を持つ。これは大手私鉄の京阪や京急以上の規模で、立山や黒部観光への接続の他にも通勤、通学の足として地域に密着しているが、同時にレトロな駅舎や懐かしい車両にも出合うことができる路線でもある。全線乗車が目的だったため、くまなく訪問することはできなかったが、訪れた場所はできるだけ紹介したいので、今回は写真多め、原稿少なめにします。(訪問は10月17、18日)
まずは10月17日に訪れた電鉄富山駅(写真1)で翌日分の1日フリーきっぷを購入。11月までの夏季と12月以降の冬季で価格が異なる。訪問時は10月なので2600円。ちなみに17日は軌道線とバスのみのフリーきっぷ650円を車内で購入した(写真2)。
軌道線のフリーきっぷは鉄道線との接続駅でもある17日は南富山駅まで鉄道線を利用。いきなりビルに圧倒された。こちらは研修センターが入っているようで屋上に踏切が見える(写真3)。鉄道駅は使用される文字に独特なものが多く、古くなればなるほど独自性が高まる。それを鉄道ファンは「文字案件」などと呼ぶが、富山地鉄は案件のかたまりでもある(写真4、5)。
翌18日が本番で、まず朝イチで、ここだけは必ず行こうと決めていた不二越・上滝線の大川寺へ(写真6)。コンクリートで覆われた他では見ることのできない構造で、20年以上前は大川寺遊園の最寄りとして栄えた(写真7~9)。
続いて岩峅寺。立山線との接続駅で特急停車駅は荘厳な駅舎を持つ有人駅は、文字案件の集まりである。というか、そもそも読めない(写真10~15)。
ケーブルカーの接続駅で観光の拠点ともなる立山はマイカーも含めて多くの人でにぎわっていた(写真16、17)。そこから本線の上市へ(写真18~20)。
スイッチバックを味わい、こちらも観光地の宇奈月温泉で昼食(写真21~23)。
電鉄黒部を経由して大川寺と並ぶメインイベントの西魚津へ進む。富山地鉄の駅舎は大正期から昭和初期に設置されたものが多く、明治生まれとはいかないが、ほとんど手つかずで残っているものが多く、他の古い駅舎とは趣が異なる。西魚津はその代表格でタイムスリップしたかのような感覚に陥る(写真24~28)。
今回の旅の後悔は西武のレッドアローと京阪のテレビカーに乗れなかったこと。東急車も京阪車も乗ったが、かつての特急列車は目撃はしたものの乗車はならず(写真29)。
追加料金の特急(※)は積極的に利用したが、普通利用も含め道程にうまくはまらなかった。そのリベンジも含め、再びおいしい酒と料理、そしておいしい駅を味わいに行きたいと思っている。【高木茂久】
※富山地鉄の特急料金は110円~210円。1日フリーきっぷは自由席特急に追加料金なしで乗車できる。訪問時は新型コロナウイルス感染拡大のため特急の指定席は運用されていなかった。