山形・最上町(もがみまち)の渓流で「グリーンモンスター」に圧倒された。釣り大好き女子のガールズバンド「LoVendoЯ(ラベンダー)」ボーカル、“オカマリ”こと岡田万里奈(23)が念願の東北でのヤマメ&イワナ攻略をしてきた。おじさん4人も加わっての珍道中となった。

 フライフィッシングに幼いころから親しんできたオカマリにとって「東北の渓流」は、それこそ夢のステージだった。

 オカマリ いつも冷たい川の水。もう想像しただけで、きれいなイワナやヤマメと遊べそうで…しかも、山形はおじいちゃんの故郷なんだけど、初体験なんですよ。キャー、もう、我慢できなーい。

 そんなオカマリと同行するのは、担当マネジャーで昆虫大好きな飯田寛(46)、TOKIOとテレビ共演して東京湾に“海岸”をつくっている木村尚(60)、某釣り具メーカーを退職して30年ぶりに山形の川を訪れる大川雅治(60)、そして今回案内をしてくれる最上町で馬を育てている小林守(49)。釣り好き女子とおじさん4人の渓流探索、どうなることやら。

 渓流に入る前に日本の海の発祥地を訪れた。JR陸羽東線の堺田駅ホーム前に不思議な山からの湧き水がある。アユ釣りで知られる小国川に注いでいるのだが、流れがきれいに左右に分かれる。東側には宮城・石巻市から太平洋に、西側は山形・酒田市に向かっている。世にも不思議な分水嶺(れい)なのだ。

 オカマリ えええええ、こんなことあるんですか? もしかして、日本の海のスタートですか? そこのイワナとヤマメ。もう、これは奇跡ですよね?

 陸羽東線は沿線に温泉地が多いことから別名「奥の細道湯けむりライン」とも呼ばれる。今回は、最上町内の瀬見温泉と赤倉温泉に宿泊しながら、情報を収集。東京を車で未明に出発して、昼すぎに「マモちゃん」こと小林と合流した。マモちゃんは「大川さんの記憶をたどると30年前にサオを出したのは白川だな。行ってみっか」とそれぞれ自己紹介して、さっそく出発した。

 白川は、小国川につながり、杉山林を流れる。花崗(かこう)岩質の土壌のため、川底が白く光ることから、この名がついた。ウエーダー(胴長)を通しても水の冷たさを感じる。晩夏の蒸し暑さを忘れさせてくれる。気持ちいい。

 オカマリ この山全体に抱かれる迫力はめまいがしそうです。川の水もきれいだけど、山の緑が濃いなぁ。いったいどんな魚と会えるんだろ。楽しみ!

 釣り人はオカマリと大川、木村。フライから始めた。ガイドのマモちゃんは、川の中に点在する石の裏に川虫が潜んでいることを飯田に教えていた。

 このときは台風が迫っていたが、青い空が広がっていた。大きな堰堤(えんてい)の前、瀬から外れたトロ場でオカマリのサオがしなった。手のひらサイズのヤマメ。浮き出たパーマークがくっきりと美しかった。

 オカマリ チビくんなのに大きなフライに飛びついてくれた。しかもかなり目立つ色。これが野生のヤマメなんですね。スゴい。

 その後、オカマリが同じサイズを連発し、大川もチャラ瀬でやはりチビヤマメをヒットさせた。

 瀬見温泉「小川屋」に宿泊した。宿の主人がベテランのアユ師で、渓流も得意という。小国川の支流に面白い沢があるという。「狭いけどさ、イワナは濃いね」とボソリと教えてくれた。みんなの瞳が輝いた。

 2日目の朝。空には厚い雲。いつ雨が降ってもおかしくない。瀬見温泉から下流に数本の沢があった。ほぼ登山だ。それでもオカマリを筆頭におじさんらもワクワクした表情になっていた。沢は1人が登れるぐらいの細さ。流れを登っていくが、いくつもの小さいプールが連続していて、このプールごとにイワナが潜んでいるらしい。

 飯田はカゲロウの幼虫をストックする。それを全員に渡してエサにする。オカマリは渓流のエサ釣りは初めてだ。大川が小さいイワナをゲットした。

 オカマリ 難しい。でも1匹、大きいのが顔を見せたんです。尺(約30センチ)はあったかも。でも、いいの。この緑に囲まれて釣りができてうれしい。川の虫をエサにする釣りも楽しい。あー、1カ月ぐらいこもりたーい。

 この後、マモちゃんの秘密の場所に移動して、木村が29センチのイワナをキャッチした。山形の渓流-なかなかに強敵だが、押し寄せてくる緑の威力は体と心に沁(し)みてくる。

 オカマリ また来る。私、完全なドライフライ派なんだけど、今度は沈むタイプもいっぱいつくって、ここに戻ってきます。待ってろ、山形!(敬称略)

 ▼問い合わせ 渓流情報、温泉や宿泊は、最上町観光協会【電話】0233・43・2233。