昨年9月の台風の影響で延期されていた、チヌ(25センチ以上)の総重量を競う「第35回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」(主催・(株)がまかつ)が、4月24、25日、岡山・倉敷市下津井沖の磯を舞台に全国の予選を勝ち上がった48選手(シード、推薦含む)が参加して行われた。2日目の決勝戦は本島の「黒鼻」で2時間戦い、藤井夢人選手(34=徳山)が波多瑞紀選手(37=シード)を3匹対1匹の2440グラム差で破り、見事、初出場で優勝を飾った。島根県勢としても初の快挙。3位には、西尾光治選手(49=家島)が入った。

 「やりました。うれしいです」。決勝の検量が終わり優勝が決まった瞬間、藤井選手がはち切れんばかりの笑顔で声を弾ませた。夏場はアユのがまかつフィールドテスターとして活躍。オフシーズンに磯釣りの腕を磨き、G杯チヌを目指して6年目。初の全国大会でいきなり栄冠をつかんだ。

 フカセ釣り歴は20年。中学生のころ、地元・益田市の釣り具店のお客さんと磯釣りに出掛け、手ほどきを受けたのがきっかけ。「ウキが海中へ入る瞬間がたまらなかった」と振り返る。

 勝因は試し釣りで唯一、チヌが釣れたというタナ2・5ヒロに固定した軽い段シズ仕掛け。「潮の変化、チヌやエサ取りの活性を見極めながらシズを調整し、ゆっくりエサを落とす」釣り方が浅場の春チヌと潮の変化が激しい下津井のフィールドにマッチした。

 G杯チヌ4勝を誇る南康史選手、同2勝の沖永吉広選手らも「あの釣り方は春の下津井に合っている。まきエも、まとめて打たずに広範囲にまいているのがいい。浅く流れが複雑なこの海に最適ですね」という。