もうおなじみになった八景「太田屋」マダイ釣り教室、5月26日に実施しました。今回参加者は8人。常連さんも7人が同乗して15人のにぎやかな船となった。ただ、海はご機嫌ななめで釣果は伸びなかった。その状況でどう釣るのか?

 反応はある。魚探(魚群探知機)にマダイらしき影は確認できるのだが、その影が浮いてこない。

 こんなときにどうするのか? そのための教室だ。左舷胴ノ間に陣取っていた飛田賢二さん(56=杉並区)がマダイを釣り上げた。「うわ、初めてのマダイ釣りで本当に釣れた。うれしいです」と、釣り上げたばかりのピンク色に輝くマダイを握りしめた。

 飛田さんは5年前、八景のすぐ横となる小柴漁港近くの居酒屋で、魚料理を食べて衝撃を受けた。「釣った魚という説明を受けて口に運んだら、とんでもなくおいしかった。それでいても立ってもいられずに釣りを始めたんです」。手始めにアジからスタートし、今では月1回ペースで出漁して、東京湾のアジに舌鼓を打っているという。

 太田屋常連で教室の講師を務める新井利行さんは「アジもコマセの釣り。システムもマダイとほぼ同じなので、飛田さんの手さばきはベースができている。時合にうまくはまりましたね」と分析した。

 コマセとは何か?

 アジ釣りではイワシのミンチ状になったものを使用することが多いが、マダイ釣りの場合は、オキアミを使う。ステンレスやプラスチックの容器にオキアミを入れる。その容器は「カゴ」と呼ばれる。カゴにあいている穴からポロンポロンとオキアミがこぼれてハリについたオキアミまでマダイを誘導して、思わずマダイがパクリ…という筋書きなのだ。

 あとコマセには別の集魚効果もある。船長が指示する「タナ」は海面から何メートルの位置にカゴをキープさせるか。釣り人は、その指示ダナから5メートル足して、その深さでサオを振り上げる。コマセのオキアミが、ぱぁ~、と広がり「エサ取り」と称される小魚が飛びつく。このとき本命のマダイはその様子を遠巻きに観察しているといわれる。

 散らばったコマセとエサ取りの魚は潮とともに流れていき、カゴが指示ダナに到達したころにオキアミのついたハリが単独で浮遊する。そこに警戒心を解かれたマダイが参上してパクリ…これが理想だ。

 魚が食い気を出す時間がある。「時合」と呼ぶ。この日はこの時合が短かった。教室参加者で飛田さん以外にマダイを釣ったのは小中智博さん(34=大田区)で「船長や新井さんのいわれた通りにタナを合わせたらきた。基本は大事ですね。サオ先が急にブルンときて、リールを巻いているときの引きもたまらんですね」と大喜びだった。

 あとは常連さん2人が釣果を得た。少ないチャンスではあったが、時合のタイミングで正確なタナ取りができた釣り人が成果を出せた。今後はマダイもピークを過ぎていくので、ちょっとお休みする。ただ、また八景沖で食い気が立ってくる可能性もある。教室もマダイの活況に合わせて復活しますので、それまでみなさん、待っててねぇ~。

 ◆船 八景「太田屋」【電話】045・782・4657。マダイ教室はしばらくお休みします。今後は午前7時30分出船のマダコ船を予定。手釣り用の渋糸&タコテンヤは無料レンタル、サオでのタコエギ(エギは各自購入)もできますよ。まもなくスタートしますが、詳細は確認。木曜定休。