今年も大ダイ祭りが始まった。千葉・外房は飯岡「梅花(ばいか)丸」のマダイダービー。ひとつテンヤで大ダイを狙い、3匹の総重量で腕を競う。9月1日のスタート以来、連日のように5キロ級が釣れている。11月24日の午後便ではベスト16によるダービー最終決戦、「飯岡マダイ王決定戦」も行われる。おめでたい尾頭付きが確保できるアタックチャンス! 逃す手はありません。

タイは突然、食ってきた。飯岡沖の25~30メートル。4号テンヤの着底後、2回ほど小突いた時だった。エビエサをくわえ込んだかのような小さなアタリに、手首を返して穂先の曲がりを確認する。針に掛かった。右舷ミヨシ(最前方)から2人目、記者のサオは、海面に突き刺さるかのように大きくしなった。

ここからのやりとりが重要になる。まずは、とにかくスピニングリールを右手でガンガン巻けるだけ巻く。底から獲物を引き離すのだ。それでもタイ独特の「三段引き」で抵抗し、海中を走ってリールから道糸が、ドラグが出て行く。

「船べりに体を密着させて、安定させてください」「タイが走ったら、サオの弾力と道糸を出してかわして」「サオの柄の部分を左手で支えます。抵抗が弱まったら、テコの要領で柄を左手で上げながら、リールを巻くと楽にやりとりできます」。

梅花亮佑(りょうすけ)船長(30)のアドバイスを受けながら、格闘すること約10分。4・7キロと、大相撲の千秋楽で優勝力士が手にしそうな大ダイがタモに取り込まれた。

記者のほかにも、底をトントンして掛けた人がいた。左舷ミヨシから2人目の野口隆志さん(53=茨城県神栖市)は、「サオをシャクって2回目で食った」と、2・5キロを確保した。右トモ(最後方)の五木田(ごきた)吉信さん(49=千葉県山武市)は、底付近で1度アタリがあったが、バラした。その後、3キロと4・6キロを連釣した。「着底後、丹念に底付近を誘った」と振り返る。この日の釣行は、底付近の集中攻撃に分があった。

一方、左ミヨシ3人目の石井一さん(54=群馬県太田市)は、40グラムのメタルジグのタダ巻きで1・9キロをヒットさせた。石井さんの隣の渡辺将弘さん(32=福島県鏡石町)は、テンヤを赤色系のタイラバに替えて1発目で、サオ頭となる5・13キロを釣り上げた。「仕掛けを落とし込んでいる途中に食った」という。ヒットパターンはいろいろだ。

亮佑船長は、「ポイントによって、反応が海底から7~10メートル上まであります。どの層で食うか分からないし、気を抜かずに集中してください」と、常にマイクでアナウンスしていた。

実際、気を緩めた瞬間にアタリが出たが、対応が遅れて掛け損ねた人もいた。落とし込みの最中、道糸が急に横走りして、慌ててアワせたがバラした人もいた。気まぐれだけど、飯岡沖には必ず大ダイがいる。

最後に、昨年の優勝者で、連覇を狙う師資田誠さん(49=千葉市)の仕掛けを参考までに。「道糸はPE1・5号、リーダーは5号、リールのドラグは2キロに調整」。梅花丸推奨は、道糸PE0・6~1号、リーダー2・5~3号、ドラグは1~1・5キロ。師資田仕様の糸は通常より太い。リールのドラグも巨ダイの引きに耐えられる。

梅花丸のマダイダービーは今年でまだ6回目。それぞれの釣り人が改良を加え、大ダイを得てきた。今年はどんな展開になるのか? 最後のひと流しまで目が離せない。

▼船 飯岡「梅花丸」【電話】090・2155・0500。午前便は4時、午後便は11時に船宿集合。料金は要確認。ヒラメの午前便もあり。https://baikamaru.com/。

【梅花丸マダイダービー】

◆期間 11月24日まで

◆参加費 1人300円

◆審査方法 マダイ3匹の合計重量

◆エントリーのルール 1回の釣行で最大の1匹を検量。午前便で10キロ、午後便で8キロを釣れば、18キロとなる。午前便で6キロと5キロを釣っても、6キロにしかならない。すでに10キロ、9キロ、8キロと3匹そろえ、27キロを計上していても、期間内の釣行で10キロを釣れば、軽いサイズと入れ替えられる。この場合、29キロにアップする。